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2009-11-08(Sun)

諸君 私はtrue tearsが大好きだ

BD-BOX発売の可能性が出てきたのを記念してヘルシングの大佐の台詞を改変してみた。
まだまだ改良できそうな気もするが、とりあえず気にしないことにしておこう。





諸君 私はtrue tearsが好きだ
諸君 私はtrue tearsが好きだ

諸君 私はtrue tearsが大好きだ

湯浅比呂美が好きだ 石動乃絵が好きだ 安藤愛子が好きだ
仲上眞一郎が好きだ 野伏三代吉が好きだ 石動純が好きだ
黒部朋与が好きだ 高岡ルミが好きだ 眞一郎の両親が好きだ

学校で 仲上酒蔵で
堤防で 今川焼き屋で
神社で パボーレで
公園で バス待合室で
海沿いの道で 竹林で

この麦端で行われる ありとあらゆる青春恋愛物語が大好きだ

眞一郎の母の比呂美への厭味が、乃絵の存在と共に比呂美の心を突き刺すのが好きだ
兄妹疑惑を教えられた湯浅比呂美が失意で心をばらばらにしてしまった時など心がおどる

眞一郎の描くスケッチブックの絵本が乃絵に感動を与えるのが好きだ
歓声を上げて 昂ぶる乃絵の口から表された感謝が
眞一郎に創作意欲を与える時など胸がすくような気持ちだった

嘘と誤解が積み重なった挙句の果てに 思い人と別の相手と交際するのが好きだ 
真心の想像力を履き違えた眞一郎が 何度も何度も空回りをしている様など感動すら覚える 

敗北主義の安藤愛子が眞一郎に袖にされてしまう様などはもうたまらない
泣き叫ぶ安藤愛子が彼女の濡れそぼった唇を押し付けても
動揺しつつもきっぱり拒絶され、まったく相手にされないのも最高だ

哀れな野伏三代吉が何も知らず恋人自慢にのろけまくっていたのを
80cm後半バストの愛子の爆弾発言が恋人の虚像を木っ端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

石動純が眞一郎たちを滅茶苦茶にかき回すのが好きだ
必死に守る相手だった妹にマジ惚れして その妹に振られて東京へ去っていく様はとてもとても悲しいものだ

石動乃絵に追いかけられて弁当を食べさせられるのが好きだ
赤いウインナーを押し付けられ嘘の食材をじべたみたいに食べさせられたなら屈辱の極みだ


諸君 私はtrue tearsを 高画質なtrue tearsを望んでいる
諸君 P.A.WORKSに付き従うファンの諸君
君達は一体 何を望んでいる?

更なるtrue tearsを望むか?
情け容赦のない 糞の様なDVD版を望むか?
純二のやりたい放題を尽くし 鶏小屋の雷轟丸を殺す 嵐の様な麦端祭りを望むか?

「 true tears!! true tears!! true tears!! 」

よろしい ならばtrue tearsだ

我々は満身の力をこめて今まさに飛び立たんとする雷轟丸だ
だがこの暗い闇の底で1年もの間 堪え続けてきた我々に ただのtrue tearsでは もはや足りない!!

BD版true tearsを!! 一心不乱にBD版true tearsを!!

我らはわずかに1.5ゼーガ 三千枚に満たぬ敗残兵にすぎない
だが諸君は 一騎当千 の古強者だ と私は信仰している
ならば我らは 諸君と私で売り上げ数3万枚の大ヒット作品とできる

我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を 開けさせ思い出させよう
連中に物語の味を思い出させてやる
連中に我々のドラマの良さを思い出させてやる

アニオタと萌えオタのはざまには 奴らのギミック志向では思いもよらない事があることを思い出させてやる

3万枚のBDーBOXの売り上げ数で
世界を萌えから目覚めさせてやる

「true tears BD-BOX 11月10日より申し込み開始へ」

第二次 true tears 作戦 状況を開始せよ
 
征くぞ 諸君







気に入らない部分があれば各自書き直して公開するように

2009-07-03(Fri)

リフレクティアがtrue tearsと結果的に無関係だという推察

企画立ち上げ

脚本第1話一稿目あがる(乃絵をヒロインにする予定)

脚本がある程度進む。

主題歌発注が行われる:
★比呂美をイメージした曲として発注。
★その後出来上がる曲リフレクティアは家族を失った直後にその代用品を求める余りに恋愛感情のない相手と結婚する歌である。

脚本がさらに進む。

当初は比呂美は家族の代用品を求めているだけで眞一郎への恋愛感情はないとするつもりだったが、脚本を読み返してみて比呂美の眞一郎への思いは恋愛感情以外の何物でもないことに気づく。

眞一郎は本当は比呂美が好きなのに乃絵への思いを恋愛感情と誤解し続けたまま乃絵と結ばれる予定だった。比呂美の思いが恋愛でないことを説明する事によってハッピーエンドなドラマとして成立するという目論見。

だが比呂美の思いが恋愛感情なら完全に眞一郎と両思いになる。両思いが結ばれないとハッピーエンドにはならない。比呂美ヒロインに路線変更。あがっている脚本も一部手直し。

リフレクティア完成。比呂美ヒロイン路線とはそぐわない曲だがいまさら変更は出来ないのでそのまま使うことに。

声優キャスティング決定。名塚佳織は眞一郎は比呂美のもとに戻ってくると説明される。

全脚本完成


(注)上記の内容は事実と推察が混じってます。念のため。時間軸とかも適当だし。

あ、リフレクティアの歌詞解説とかはここではやりません。全部を解明したわけでもないし。

2009-07-02(Thu)

二年次07月上旬:「七夕と誕生日と、そして…」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



二年次07月上旬:「七夕と誕生日と、そして…」








二週間近く前だったろうか?眞一郎君の様子が少しおかしい事に気づいたのは。それが何故なのかはすぐにはわからなかったが、朋与たちの態度も少しおかしい事に感づいた私の脳はひとつの答えをはじき出した。これはサプライズだ。サプライズバースディパーティに違いないと。

そう、もうすぐ私の誕生日がやってくる。眞一郎君の誕生日が花見を兼ねたものにしてしまった朋与は私の誕生日でも何かしようとしているに違いない。でも何をするつもりだろう。七夕じゃ花見と違ってドンちゃん騒ぎにする要素も少ないだろうに。暫く頭を悩ませても答えは出てこない。まあ簡単にわかってしまったらサプライズじゃ無くなるわけで、そういう意味では答えなどわからないほうがいいのかもしれない。そんなこんなで時は過ぎ、ついには私の誕生日がやってきたのであった。

早朝、私は事前に仲上家に借りておいた脚立を引きずりながら竹林へ向かう。そして真上に竹の枝が沢山生えている場所を探し回った。そしていい感じの場所を見つけると脚立を開いてその上に乗る。そして大ばさみで竹の枝を切り落とす。すぐに脚立を降り竹の枝を検分してみる。うん、いい感じの枝だ。これなら部屋にも飾れそうだ。そして私は脚立を閉じるとアパートに向かう。手に入れた竹の枝を見つめつつ短冊に何を書こうか考えながら。そう、今日は七夕、7月7日。私の17歳の誕生日。

竹と笹は近縁種ではあるのだが、植物学的には異なる物だという。だが古来より厳密な区分は行われていないのが現実だ。ようするに細いものが笹、太いものが竹。その程度の区別がまかり通っているのだ。だがら七夕の飾り付けに笹でなく竹を使ったところで何も問題はないはず。そもそも中国では七夕は竹の節句だったというし。ようするに飾り付けやすい細いものを使うから笹を選ぶというだけなのだろう。そんな竹の節句、つまりは織姫と彦星の一年に一度の逢瀬、会えなくても互いを想い合う恋人たち、そんな日に生まれたと言うことに私は何か運命めいたものを感じるざるをえない。とはいえ私と眞一郎君は年に一度しか逢えないようなそんな関係ではないし、もしそうなってしまったら私はきっと耐えられないだろう。しょっちゅう同じ夜を過ごせる私たち。正直織姫と彦星には申し訳ないようにも思う。そんな幸せな恋人たちの願いを不幸な恋人たちに叶えて貰おうというのだから。そんな事を考えつつも私は竹の切り口に布を縛り付ける。布の中には重りとして小石が詰めてある。それをビニール紐で縛って固定して竹を倒れにくくしようと考えたのだ。もちろん竹は基本壁に立て掛けて置く。でも単に立てかけただけではすぐに倒れてしまう。だから重りをつけることにしたのだ。これならば一日くらいは倒れたりしないだろう。私は竹を壁に立て掛けて様子を見、大丈夫だと判断。そして短冊に願い事を書き始めた。


高岡キャプテンが部活の終わりを宣言したのは何時もよりも30分くらいも早い時刻だった。でも無理もないかも知れない。理由は不明だが部員の数が何時もより数人ほど少ないのだ。期末試験が近いせいだろうか?ともあれ、こんな状態ではまともな練習など出来そうにない。私は部活の早期切り上げの理由をそう予測していたのだが高岡キャプテンがその後に述べた理由は異なるものだった。キャプテン曰く、「私用がある」からだそうだ。まったく鬼の高岡キャプテンともあろうものが私用で部活時間を短くしてしまうとは。私はちょっとだけ憤慨を感じながら後片付けをして更衣室に向かった。

私が更衣室に入ると朋与たちは既に着替えを終えてしまっていた。いつもなら何かしら喋りながらの着替えになりが私が朋与を急かしたりする事が多いのだが、今日に限っては朋与のほうが圧倒的に早い。それに他の部員ももう着替えが終わっている。これもサプライズに関わる事なんだろうか?疑問を感じている私に朋与が着替えを急かそうとして来る。
「ほら!もうあとあんただけよ。早く着替えないと鍵かけられないんだから」
何時も自分が言われている言葉をそのまま私に投げかけてくる朋与。全く調子のいい親友だ。ともあれ私は取り急ぎ着替える事に徹する。施錠が終わらないとキャプテンが帰れない。私用で早く部活を切り上げた意味がなくなっては彼女も困るだろうから。

私が朋与と一緒に校門をくぐると一台のワンボックスカーが目に入ってくる。そして車の傍には美紀子と大学生くらいの男が話しているのが見えた。
「あ、こっちこっち!」
美紀子は私たちに気づくと手を振ってきた。私は美紀子に近づくと男を見つめて尋ねる。
「えっと…彼氏さん?」
「そう見える?」
「違う違う、兄貴よ。兄貴」
美紀子は男のふざけ気味な返答をすぐさま否定した。そういえば兄がいるという話は聞いたことがある。
「どうも、兄の美紀彦です」
「そんなことよりさ」
「あ、そうだね。じゃ行こうか」
朋与の意味深な忠告に同意を見せる美紀子。どこへ行こうというのか?わざわざ車で誕生日パーティに出かけるとでもいうのだろうか?私が疑問に思っていると朋与が後ろから何か顔にかけてきた。
「はーい。ごめんなさいねー」
「ちょ、朋与?」
どうやら朋与が私の顔にかけたのはアイマスクのようだ。何故目隠しを?朋与は全く理解できずに戸惑う私の背中を押してくる。どうやら車に乗せるつもりのようだ。これもサプライズの一環なのだろう。私は仕方なく朋与たちにおとなしく従うことにするのだった。


軽快に走っていく車の中、私は何か目的地などについて誰かがポロリと漏らさないかしっかりと聞き耳を立てていた。車に乗ってきたのは私と朋与と美紀子だけではない。どうやら後数人、バスケ部員が乗り込んだようだ。まあ彼女たちも私の誕生日を祝ってくれると言うわけだろう。そして車の運転は当然ながら美紀子のお兄さんが行っているようだ。そのお兄さんは色々と私の外見について感想を述べてくる。曰く、噂以上の美人さんだ。曰く、こんな娘を彼女にした奴が羨ましい。曰く、俺の彼女は体はすごいけど顔は別の意味ですごいんだ。などなど。そういえば美紀子は兄がエロエロだと時折ぼやいていたっけ。そんな感想を抱いているといつの間にか話題はお兄さんと彼女とののろけ話に変わっていった。どうやら目的地などについての情報は車の中では得られないようだ。朋与たちも一言も口をきかない。お喋りが好きな彼女がずっと押し黙っているのは大変なことのように思う。私は情報の入手を諦めると少しだけ眠る事にした。

「ほら、比呂美、ついたわよ」
朋与に肘をつつかれて目を覚ます。だが相変わらずアイマスクが掛けられている為周りの状況は全く理解できない。朋与は私の手を取ると車の外へと誘導してくる。この柔らかい地面は芝だろうか?いやむしろ雑草が生い茂っているといった感じのほうが正解に近い気もする。手を引かれつつ暫く歩いていると気のせいか少し周囲の明るさが変化したように思える。いぶかしむ私の背後に朋与の声が回り込んでいく。
「じゃ、後よろしく」
「オッケー」
そう答えたのはあさみだ。当然彼女も誕生日を祝ってくれるということだろう。するとあさみは私の両耳に手を回してきた。
「じゃ、とるよ」
あさみによってアイマスクが剥がされ久しぶりに視界を取り戻す私。私が周囲を見ると周りは衝立が取り囲んでいる。地面にはレジャーシートが引かれ風呂場に置くようなカゴが乗せてあった。
「じゃ、脱いで」
「へ?」
突然のあさみの言葉に困惑する私。あさみは私の背後を指差す。
「着替えるのよ」
私が振り返るとそこにはウエディングドレスがこれでもかと言わんばかりにその純白を輝かせていた。
「これって!」
私はドレスを指差しつつあさみを振り返る。
「うん、だから早く脱いでね」
あさみは特に感慨もなさそうに私の制服のボタンに手を掛けた。


「いや、あれから半年。まさかこれほどの成長を遂げているとは」
着替えを手伝うあさみが私の胸について感想を述べてくる。確かにすでに私の胸は愛ちゃんに追いついている。いやひょっとしたらもう追い越しているかもしれない。流石にスポーツブラの上にドレスは無理だろうと思っていた私だったが、そこはそれ、朋与たちにもぬかりはないようだ。ちゃんと私のブラジャーが用意してあった。きっと眞一郎君がこっそり持ち出したのだろう。合い鍵を持っている彼なら幾らでも持ち出すチャンスはあるのだから。
「胸きつくない?」
背後でドレスのボタンをつけながらあさみが尋ねてくる。
「うん、ちょっときつめだけど。大丈夫」
「貸衣装だからあんまりサイズがないのよね」
しかし花嫁衣裳とは。いわゆるコスプレというやつだろうか?まあ悪い気はしないので文句は言わないでおこう。
「よし完成。似合ってるよ」
私の頭にベールをかぶせるとあさみは手鏡を渡してきた。私は手鏡を受け取ると自分の顔を覗き込んでみる。するとそこには確かに純白に染まった花嫁の姿があった。
「実際、比呂美は何着ても似合うよね」
ある種の感動を覚える私にちょっとだけ水を差してくるあさみの言葉。まあほめ言葉なんだし、文句は言わずに済ませたい。
「それじゃ、皆に見せびらかそう」
そう言うとあさみは私の手を引いて衝立で作られたゾーンから外へと誘導する。
「ちょ、そんなに引っ張らないで…」
文句を言う私の声に気づいたのだろう。私が外に出ると何人か制服を着た生徒たちがこちらを振り向いた。
「おお」
「綺麗…」
「素敵…」
口々に褒め立てられるとコスプレも悪いものじゃないなと思えてくる。すると一人だけ違う制服が近づいてきた。
「比呂美ちゃん、素敵よ」
違う制服の主は愛ちゃんだった。よく見ると背後には野伏君の姿もある。
「ありがとう。でもなんでコスプレ?」
「聞いてないの?」
愛ちゃんはそう言うと奥のほうを指差した。示された方向を見るとそこにはタキシード姿の眞一郎君の姿があった。
「眞一郎君も?」
私の言葉に気がついた眞一郎君は私のほうを向いて恥ずかしげな笑みを見せた。コスプレがそんなに恥ずかしいのだろうか?確かに今ひとつ似合って無いけど。眞一郎君には和服のほうが似合うのだし。だがそんな私の横道にそれた思考をその背景が打ち破る。
「な!?」
そう、眞一郎君の背後に見えたもの。それは白い教会だった。私は思わず眞一郎君の方、すなわち教会の方向へ駆け寄る。
「教会…」
それは確かに教会だった。それほど大きくはない、はっきり言えば小さな教会だったが、それでもそこはまごう事なき教会だったのだ。私は隣の眞一郎君に尋ねてみる。
「これって…」
すると背後から聞きなれた声質が変な形で搾り出された。
「あなたーはかーみーをしんじまーすか?」
私が振り返ると案の定、声の主は朋与だった。だが朋与もまた制服姿ではない。なんと彼女は神父さんの格好をしていたのだ。
「…似合ってない…」
「いや、手厳しいわ」
そう言って自分の頭を小突く朋与。
「でもこの役は私しか出来ないと思うわよ」
私の批判に朋与は反論を見せた。
「役?」
「そ、神父さん役。この結婚式ごっこのね」
そう言うと朋与は私にウインクをしてみせるのだった。


「あんた、ウエディングドレス着てみたいとか言ってたでしょ?」
先ほど聞いた朋与の声が脳裏に響く。
「仲上家は神前式で白無垢と文金高島田だから、ウエディングドレスは着る機会なんてないって」
私は朋与の言葉をかみ締めながら真っ赤な絨毯の上を歩く。
「だから、仲上君と相談して決めたの。この結婚式ごっこを誕生日プレゼントにしようってね」
拍手が鳴り響く中、私は隣を歩く眞一郎君を見つめる。
「今年じゃなくてもいいかとも思ったけど、来年だと旦那が18歳になってるでしょ?“ごっこ”にならなくなるしね」
やっぱり朋与は最高の親友だ。私は親友への感謝を覚えながら眞一郎君の腕を掴む力を強めた。バージンロードの両側に野伏君と愛ちゃんの姿が見える。打ち合わせ通りにブーケを渡し手袋を脱いで預ける。眞一郎君も手袋を野伏君に渡したようだ。そしてまた歩き出した私たちが神父役の前までたどり着くとCDラジカセから流れていた結婚行進曲が止まり、朋与が作り声で語り始める。
「汝、仲上眞一郎は、湯浅比呂美を妻とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「ち、誓います」
眞一郎君は笑いを必死に堪えながら答える。そして朋与は今度は私に向かって質問を掛けてくる。
「汝、湯浅比呂美は、仲上眞一郎を夫とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「誓います」
私が静かに返答すると心なしか朋与の表情が一瞬微笑んだように見えた。
「では指輪の交換を」
朋与がそう言うと眞一郎君はポケットから指輪のケースを取り出した。見慣れたそれは結婚指輪のケースではない。つまりは婚約指輪のケースだ。眞一郎君はケースから指輪を取り出す。当然ながら中身も婚約指輪だ。いつの間に持ってきたのだろう。ていうか眞一郎君に指輪の隠し場所って教えてたっけ?そんなことを考えていると眞一郎君は私の左手を優しく掴んできた。そしてゆっくりと薬指に指輪をはめる。こういうとき何かいうのではなかっただろうか?でもどうせ指輪の交換と言いつつも私から眞一郎君にはめる指輪はないわけだから、細かいことは考えないほうがいいのだろう。
「それでは誓いの口付けを」
眞一郎君は私の目前まで歩み寄るとベールを両手で開き、私の手を握ってきた。眞一郎君の瞳の中に私の顔が映る。そして黙って目を閉じ顔を近づけていく。触れ合う唇。ひと時の間の後、どちらかともなく唇を離す私たち。恍惚の満ちる中で目を開けると眞一郎君の恥ずかしそうな表情が見える。正直言って今更舌を入れないような軽いキスでここまで気分が高揚するとは思わなかった。これも結婚式ごっこの賜物だろうか?
「ただ今、お二人の結婚ごっこが成立いたしました」
朋与の宣言とともに私たちは出口を見つめゆっくりと歩き出す。拍手が鳴り響く中、私たちは赤い絨毯を逆に辿って教会の外、光の中へと足を踏み出した。


「眞一郎君、そろそろ止まらないと」
私が注意しないと眞一郎君はずっと歩いてしまいそうだ。この後、参列者に向かってブーケトスをしなければならないのに。
「そうだな」
そして私たちが後ろを振り向くと参列者たちも教会の外に出てきていた。よくよく見ると参列者の仲には部活を休んだ筈の者もいる。おそらくは交通手段の確保の問題で早めに来なければならなかったのだろう。そして中から出てくる人が一段落したのを確認すると私はブーケを高く放り投げた。綺麗な放物線を描いたブーケはとある人物の手の中に綺麗に落ちる。
「あれ?」
ブーケを受け取ったのは丁稚君だった。丁稚君と言うのは仲上酒造で働く坊主頭の子のことで、本名は別にあるのだが実を言うと覚えていない。なので私は心の中で丁稚君と読んでいるのだ。
「どうしましょう?」
丁稚君は隣にいるおばさん…眞一郎君のお母さんに尋ねる。気がつかなかったがおばさんも参列していたようだ。
「高く放り上げなさい」
おばさんがそうアドバイスすると丁稚君は言われたとおりにブーケを投げ上げた。ノーコンなのだろうか。ブーケは少し離れたほうへと流れてしまう。だが、そこにちょうど一人の女性が立っていた。その女性は片手で落ちる途中のブーケを横から掴み取った。華麗にブーケを受け取った女性…それは高岡キャプテンだった。彼女もまた参列者の一人だったのだ。少し離れた位置にいるのは相変わらず仲上にこだわりがあるからなのだろう。高岡キャプテンはブーケを掴んだ手を掲げると私に向かって微笑んだ。私は眞一郎君と見詰め合うと互いに笑みを見せ合うのだった。


「おめでとう…と言っていいのよね。本番じゃなくても」
眞一郎君のお母さんは私に歩み寄ると声を掛けてきた。
「すみません。こんな仲上家の結婚式を否定するような真似…」
「いいのよ。真似事なんだから…それより素敵だったわ。綺麗だしね」
おばさんのお世辞はなんだかこそばゆいと思う私。
「花嫁は誰だって綺麗ですよ…おばさんの時もきっと…」
私はお世辞に対して謙遜とお世辞返しを試みた。
「私たち、結婚式挙げてないのよね」
「え?」
私は意外なおばさんの返答に戸惑ってしまう。
「比呂美ーっ、そろそろ着替えないと帰り遅くなっちゃうよー」
「え?うん。そうね」
あさみの呼びかけに私が反応しているとおばさんは車の方へ歩いていく。
「じゃ、そろそろ戻らないと。夕飯を用意する時間がなかったら家に食べに来なさい」
「あ、はい」
私がおばさんの助言に同意する間に彼女はは外車の左側のドアを開いて乗り込む。助手席には既に丁稚君が座っているようだ。車のエンジン音が鳴り始め、やがて車は走り去っていく。
「ちょっと比呂美。早く着替えてよ」
私が去っていく車をじっと見つめているとあさみがまた呼びかけてくる。
「うん、わかってる」
私はそう答えつつもただおばさんがさっていった方向をじっと見つめ続けるのだった。


教会の場所は思いの外遠く、家まで送り届けてもらった時にはすでに夜8時過ぎになっていた。仕方ないのでおばさんの忠告どおりに仲上家に夕食をご馳走になりにいく。私が尋ねた時はちょうどおじさんとおばさんの夕食時だったらしい。必然的に一緒に取る事になる。眞一郎君は私が来るちょっと前に食べ終わったらしい。だが彼は私が夕食を食べている間、隣に座って結婚式場にした教会について話をしてくれた。

眞一郎君が言うにはあの教会はすでに所有者も無く廃墟も同じらしい。そして秋にはあの辺りにゴルフ場を作るために取り壊されると言うのだ。つまりは来年だとあの教会はもう存在せず、今回の結婚式ごっこの実現もかなり困難なものになっていた筈だと。自分たちは本当にラッキーだったと。私は眞一郎君の話を聞き自分の幸運をひしひしと感じていた。そしてふとおばさんの横顔を横目で見つめる。私の脳裏におばさんの結婚式をしていないという言葉がよぎる。疑問を抱かずにはいられない私だが、立ち入った話になるかもしれない。身内になる予定とはいえ、まだ他人の私が尋ねてもいいことなのだろうか?迷った挙句、取り合えず今は聞かずに機会を待ったほうがよいとの結論を出す。そして私は筑前煮をかみ締めながらテーブルの上のブリの照り焼きをじっと見つめるのだった。


「ちょっと上がっていって」
私の言葉に頷く眞一郎君。仲上家での夕食後、私は眞一郎君にアパートまで送ってもらうことになった。所謂送り狼っぽい状況だなと思う。でも羊のほうから肉を与えようとする場合でも送り狼と言うのだろうか?
そんな事を考えつつ部屋に入る私。続けて入ってきた眞一郎君が壁に立て掛けてある竹の枝を見つける。
「七夕の笹か」
「ブーッ、それは竹です。竹林の竹です」
私は眞一郎君のアンサーに駄目だしをした。
「なるほど、で、お前はどんな願い事を…」
「それより眞一郎君も書いてよ」
私は彼に向かって短冊とマジックを差し出した。
「え、うーん。何をお願いしようかなあ」
そういって暫く天井を見つめていた眞一郎君だが、何かに気づくとマジックを取り一気に書き上げる。
「見せて」
私は眞一郎君から短冊を受け取るとその内容を読み上げる。
「比呂美がいつも笑顔でいられますように…」
実に眞一郎君らしい願い事だ。喜びを隠せない私が彼を見つめると眞一郎君は恥ずかしげに頬を掻いていた。
「じゃ、つけるね」
私は眞一郎君の短冊を竹の枝に括り付ける。すると眞一郎君が私の背後から歩み寄ってきた。
「比呂美はどんな願いをしたんだ?」
私は竹の枝につけた赤い短冊を指差す。そこに書いてある言葉を眞一郎君はゆっくりと読み上げた。
「眞一郎君とずっと一緒に暮らし、一緒に歳をとって、一緒のお墓に入れますように…」
眞一郎君は私の願い事を読み上げた後、私を見つめて苦笑いを見せてくる。
「別にわざわざ願い事にしなくても…それくらい実現出来るだろ」
私は窓ガラスから夜空を見上げると眞一郎君の意見に反論した。
「先のことなんてわからないわよ…お父さんお母さんが死ぬなんて私も予想して無かったんだし…」
眞一郎君は苦笑いをやめると真剣な面持ちを見せる。
「ごめん、悪かった。お前の言うとおり、先のことはわからないよな」
「わかってくれればいいのよ。それにこの願いは織姫と彦星だけじゃなく眞一郎君へのお願いでもあるのよ」
私の言葉を受けた眞一郎君は私の肩に手を回し夜空を見ながら答えてくる。
「約束するよ。すっと一緒だ」
「うん、後でこの枝、川まで流しに行かないとね」
眞一郎君は私の肩を握る力を強めながら呟いた。
「ああ、後でな」
そして私も眞一郎君に頭を預けながら答える。
「うん、後でね」
そう、今日は私の17回目の誕生日。そしてまだ、夜は長い。




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あとがき:

EDはリフレクティアでお願いします。とはいってもリフレクティアってtrue tears本編とは結果的には何も関係ない曲なんですけどね(爆弾発言)そんで、このSSとも関係なし。

今回は比呂美の誕生日話です。比呂美の誕生日には七夕こそふさわしいと思っている人は結構いますけど、実際これほど比呂美の誕生日に相応しい日はないでしょう。もしオフィシャルが誕生日を決めているとしたら7月7日しかありえないと思えるくらいです。

七夕=竹の節句、竹・たけのこの日、ポニーテールの日、ゆかたの日。星座でいえば蟹座で、もっとも女性的で愛憎深く敵味方をはっきりわける星座といわれています。7月誕生石のルビーや誕生花の赤スグリには赤い実を連想せざるをえませんし。

ようやく今回眞一郎の母の初登場となりました。別に避けてたわけじゃなく単に比呂美と眞一郎の母の関係は本編で完結しているため特に書くべきドラマも見出せないというだけの話です。

あと今回の結婚式ごっこは正式な手順を幾つか省いてあります。ごっこなんだから正確じゃなくてもいいと思うし。

2009-06-30(Tue)

キャンペーン用小戦略

true tearsのイベントが富山で7月5日だったかに行われるらしい。当方は貧乏をこじらせている身なので当然行く事は不可能なのだが、この機会は俺自身のtrue tearsの作品解釈を広めるラストチャンスなのではないか…そう思いこの際一度徹底的な宣伝を行おうと決意した。まずは別名義でのtwitter、それが駄目なら2ch…そこまで宣伝して駄目ならばスッパリ諦めようと思う。

というわけでリンクでここに飛んできた人はまず考察目次から入ってね。各話考察でのメモ書きは読む必要全くないので考察まですっとばすべし。あと二次創作も読む必要ないから余程の暇人以外はスルーするように。

2009-06-17(Wed)

二年次06月中旬:「雨上がりの日」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



二年次06月中旬:「雨上がりの日」








その日の4時間目は化学だった。早めに化学室にと向かう比呂美と朋与はその途中、廊下の曲がり角でよく見知っている顔に出くわした。
「あれ?旦那じゃん」
朋与はジャージ姿の眞一郎を見つめる。どうやら体育が終わった直後らしい。眞一郎は目を泳がせながら小さく挨拶をする。
「あ、うん、こんちわ」
すると比呂美は目を閉じながら朋与を急かした。
「早く行きましょ」
「え?」
戸惑う朋与を置いていくかのように一人でずんずん先に進んでいく比呂美。そして眞一郎とのすれ違いざま、ぷいと顔を背ける。眞一郎はそんな比呂美を見ると視線を尖らせた。
「ちょ、比呂美、どうしたのよ」
朋与は早足で歩く比呂美をあたふたと追いかけていく。去っていく比呂美たちの後姿をじっと見つめていた眞一郎はやがて小さなため息をつくのだった。


「アダルトDVD?」
朋与の声は思いの外大きく学食の中に響き渡る。比呂美は口の前に人差し指を立て小声での会話を要求する。朋与は食事を中断して隣にいる比呂美の耳元でささやく様に先ほどの言葉を繰り返した。
「…アダルトDVD?旦那が見てたわけ?」
比呂美は定食メニューに盛り込まれたデザートを箸でつつきながら答える。
「そう、眞一郎君の部屋にあったのよ」
昨日、日曜日に比呂美は眞一郎の母親から仲上酒造の帳簿整理の手伝いを頼まれ仲上家を訪れた。そして一仕事終わったついでに眞一郎と少し話をしていこうと彼女が部屋を訪ねると、眞一郎の姿は部屋の中には無かった。暫く待つことにして彼女は部屋の中を見渡した時だ。机の上に異常な物を発見したのは。普段の眞一郎の部屋には存在しないはずのもの…アダルトDVDを彼女は見つけたのだ。比呂美の驚愕はやがて憤怒へと変わっていった。そしてそんなタイミングの悪い時にちょうど眞一郎が戻ってくる。比呂美は眞一郎に反論する暇を与えず一方的にまくし立てた後、憤慨しつつ仲上家を去っていったのだった。そんな昨日の出来事を思い返す比呂美は己の中の怒りがさらに増していくのを実感する。そして朋与はそんな比呂美を半目で見つめながら反論を試みる。
「でも男の子なら見てても当然じゃないの?」
比呂美はデザートの中のパイナップルとマンゴーに箸を突き立てた。
「何言ってるの!彼女がいる身なのよ!」
大声で怒鳴った比呂美に向かい朋与は口の前に人差し指を立てる。比呂美は我に返って咳払いをすると静かに口を開いた。
「とにかく、私たちは比較的自由に、その…出来るんだから、そんなもの必要ないはずでしょ。それに仕方なく一人でする場合だって、恋人のことを考えながらするのが普通じゃない」
朋与は肩をすくめつつ中立を示す。
「私にはわかりませんわ。彼氏いないし」
「とにかく、これは完全な裏切り行為よ。許せないわ!」
比呂美は左拳を握り締めながら宙を睨み付けた。


その日は朝から曇っていていつ雨になってもおかしくは無い天気だった。でも実際に雨が降り始めたのは比呂美が部活を終えて下校を始める直前だった。当然ながら用意してあった傘を差し家路に向かう比呂美。そんな下校時のことだった…その小学生たちを再び目撃したのは。以前見かけたことのあるいかにも仲がよさそうな小学生の男の子と女の子の二人組み。だが今日は何故か喧嘩をしているようだった。
「もう!しんじられないよ!」
「だから!話聞けよ!オタンコナス!」
「なによ!このスットコドッコイ!」
互いの悪口を言い合うのに合わせ黒い傘とピンクの傘がぶつかりあっている。仲裁をすべきだろうか?一瞬考えた比呂美だったが他人の事にとやかく首を突っ込むべきではないだろう。とりあえずその場は通り過ぎる事にする。
(本当に止めなくてもいいの?)
比呂美の中で迷いの言葉がリフレインしつづける。そんな比呂美が横を通り過ぎても子供たちは喧嘩を続けている。そんな彼らの姿を見ていると比呂美の中にとある過去が蘇って来た。
(そういえば、私と眞一郎君も一度大喧嘩した事があったっけ?)
あれはたしか小学校3年生くらいだったろうか?ちょうど今喧嘩をしている子達と同じくらいの年齢だったと比呂美は思い返す。
(あれ?そういえば…喧嘩の原因って…)
比呂美は自分自身、喧嘩をしたことを覚えていてもその発端を覚えていないことに気がついた。いったい何が原因だったのだろう。幾ら考えても思い出せない。思い出せないということはきっとたいした理由もなかったのだろうと考え、比呂美はそこで追憶を打ち切る事にした。


二日続きの雨が降り続く中、比呂美たちはいつもどおり体育館でバスケ部の練習をはじめる。準備運動の最中、比呂美は体育館を眺め回してため息をつく。
「どう、し、たの?」
準備運動をしつつ体の動きのリズムに合わせて質問してくる朋与。比呂美はあごでため息の理由を指し示す。
「なるほど」
朋与が比呂美の示した方向を見つめると十名ほどの男子生徒がさっと目をそらす。中には腕を後ろに隠す子もいる。恐らくは携帯のカメラを使う気だったのだろう。
「人気者ですなあ」
朋与のおちゃらけた発言に比呂美は口を尖らせて反論する。
「笑い事じゃないわよ」
「でも仕方ない気もするわよ。それじゃあね」
朋与はそういうと比呂美の胸元を指し示す。比呂美はその自分の胸を見つめるとさらなるため息をついた。確かに比呂美の胸は恋人が出来てから急成長を続けている。着やせするたちなので目立ちづらいものの、気づいている人も少数とはいえ以前から存在したようだ。だがその人数は衣替えとともに多くなってしまった。そして噂を聞きつけた男子が一目見ようとチャンスをうかがっているのが現状だ。比呂美の胸を見るためにわざわざこの第3体育館だけ見学しにくるのだ。そしてその人数は雨で運動系の部活の多くが中止になった場合には着実に増えていると比呂美は判断している。大きさのわかりづらいスポーツブラでこれなら普通のブラジャーを着けていたらどうなっていただろう。そんな事を考えつつ比呂美は自分の胸を見つめる。
(眞一郎君は挟むと喜んでくれるけど…大きいのも考え物よね)
比呂美がそんなジレンマの中をさ迷っていると朋与が高岡キャプテンに向かって声を上げた。
「キャプテン!こんな下衆な観衆がいたら練習に響きます!」
高岡キャプテンは男子生徒を見つめ回して暫く考えた後、口を開いた。
「そうね、一度学校側にかけあって見ましょう」
「やりい!」
朋与は自ら発した見学規制案に好感触を感じ取ると指を打ち鳴らす。
「よかったね。にしても全く…男って奴はしょうがないね…」
「本当、男の子ってしょうがないわよね」
朋与の意見に賛同する比呂美。だがその脳裏には見学する男子生徒ではなく眞一郎とアダルトDVDの影がよぎっていたのだった。


またしても比呂美は下校途中で小学生の子達に遭遇してしまう。例の喧嘩をしている男の子と女の子だ。雨の中、わざわざ道端で喧嘩しなくてもなどと考えながら比呂美は小学生の横を通り過ぎようと進んでいく。小学生たちとの距離が縮んでくると比呂美にも何を口論しているのかはっきりと聞き取ることが出来た。
「最低よ!スカートめくりなんて!」
どうやら女の子は男の子にスカートを捲られたらしい。そういえば自分と眞一郎との子供時代の喧嘩の原因もスカート捲りだったような気がする。比呂美は忘れていた過去を思い出した。
「男らしくないわよ!」
「だからさ!男にはやらねばならないときがあるんだよ!ショードーが抑えられない時がさ!」
今ひとつ男の子の反論は要領を得ないものだったが、衝動が抑えされない時という言葉が比呂美の脳にちょっとだけ引っかかった。
「女にはわかんないんだよ!」
比呂美はそれなりの性体験と性知識を身につけていると自負していたが、それでもひょっとしたらまだ男の子の生理と言うものを正しく理解していないのかもしれない。だから恋人がいる男がAVを見るというのも女には理解できなくても同じ男なら理解できるのかもしれない。それまで出来なかったそんな考え方が比呂美の中に初めて生まれてきた。
「わかんないよ!なんで他の女の子の…あかゆきちゃんの馬鹿!!」
そう言うと女の子は雨の中を走り去っていく。
「おい、ひろり!待てよ!」
男の子もまた女の子を追いかけていく。そしてその場に比呂美だけが取り残された。
(ひょっとしてヤキモチ?)
どうやら女の子はスカートめくりの対象が自分で無かったことに腹を立てていたようだ。
「そうよね、私のもヤキモチだわ」
比呂美は雨雲を見上げて呟く。でもこのヤキモチは恋人なら当然だと思う。もし男の子の生理上、AVを見る衝動が抑えられなくて当然だと仮定しても、この思いはわかって貰わないと。そう考えた比呂美はポケットから携帯電話を取り出すと喧嘩相手のメールアドレスを呼び出した。


「ごめんなさい」
開口一番、比呂美が発した言葉。眞一郎は玄関のドアを閉じるのも忘れて目の前で頭を下げる比呂美を見つめる。
「ようやくわかっ…」
一瞬顔をほころばせる眞一郎だったが、比呂美はその喜びの言葉をさえぎってきた。
「でも、わかってほしいの。たとえ、男の人の生理がAVを必要としてるとしても…女にとってそれは受け入れにくいってことを!」
頭を上げつつ眞一郎に懇願する比呂美。眞一郎は繭をしかめて頭を掻きむしった。
「ああ、もうわかってないじゃないか!!」
そんな眞一郎を見て比呂美は首をかしげる。
「どうゆうこと?」
「考えればすぐわかるだろ。俺の部屋、DVDプレイヤーなんか無いってこと」
眞一郎は玄関を閉じつつ比呂美に説明をする。言われてみれば仲上家にはDVDプレイヤーは居間にある一台きりだと思い当たる比呂美。
「え?じゃあなんで?」
「だからさ、あれは三代吉の忘れ物なんだって」
眞一郎の説明に呆然となる比呂美。
「な、なんでそう言ってくれなかったの?」
「お前が人の話全く聞こうとしないからだろ!」
眞一郎は呆れたような視線を比呂美に見せてくる。比呂美は申し訳なさそうな顔で再度頭を下げた。
「…ごめんなさい…」
眞一郎は比呂美に背を向けつつ玄関に腰を下ろすと靴を脱ぎ始めた。
「全く、もう少し人の話聞くようにしてくれよ…」
比呂美は眞一郎の背後で腰を下ろし正座する。
「ごめんなさい…」
靴を脱ぎ終わった眞一郎は玄関に上がって立ち上がると比呂美に向かって手を伸ばした。
「ま、過ぎたことはもういいよ。今度から気をつけてくれれば」
比呂美は眞一郎の手を掴むと彼に引っ張られるようにして立ち上がった。
「うん、気をつけるね」
「一応言っとくけど、俺はお前以外の女をオカズにするような真似はしないぞ。約束する」
「うん、ありがとう」
眞一郎の一穴宣言に比呂美の顔がほころんでいく。そんな比呂美を見つめながら眞一郎は昔のことを思い出していた。
「そういえば、子供の時も似たようなことあったよな」
「そうだっけ?」
「ああ、小学校でスカートめくりが流行っていた時にさ…」


いつになったらこの雨はやむのだろう。そんな事を思いながら部活に打ち込んでいた比呂美だったが、終わってみると外の雨は小降りになっていた。この調子ならもうじきやむだろうなと感じながら彼女は傘をさして自分の部屋への帰り道を辿っていく。そしてその帰り道の途中で彼女は二度あることは三度あるという言葉を思い出さずにはいられなくなった。そう、またもや例の小学生とニアミスしたのだ。
「ごめんなさい」
「いや、俺のほうこそ悪かったよ」
どうやらこの二人も仲直りしたようだ。
「あそこでめくらないと友達から仲間はずれになりそうだったんだよ」
「そうだったんだ」
男の子の弁解を初めてちゃんと聞いた女の子。どうやらそれなりの納得は得たようだ。そんな彼らを横目で眺めつつその横を通り過ぎた比呂美は自分と眞一郎の小学生時代の喧嘩を思い出した。結局眞一郎のスカートめくりは落し物を拾おうとしたときにランドセルの縦笛が比呂美のスカートに引っかかっただけだったという。それを比呂美は眞一郎の弁明も聞かずに意図的なスカートめくりだと判断してしまったのだ。男子の間でスカートめくりが流行っているというだけで。
(結局、何も進歩して無いんだな)
比呂美は己の愚かさに深いため息をつかざるを得ない。眞一郎は比呂美を傷つけるような真似はよっぽどのことがない限りはしない。そんな簡単な事にも思い至らなかった比呂美は自分を恥ずかしく思った。でも進歩が無いことが自覚出来ただけでもほんのちょっとは前進した事になる。ほんのちょっとだけでも前に進み続けられればやがては大きな進歩になる筈だ。そう信じた比呂美が空を見上げると、いつの間にか雨は止み雲の切れ間から太陽の端っこがそのまぶしい顔を覗かせていた。そして比呂美は傘を閉じると大きく深呼吸をした。
「よし!」
そして彼女は前に向かって歩き始めた。




###########

あとがき:

今回の話って多分、今までの話で一番つまんないよね。まあ6月の話はこれ一本だから、あんまり欠番にはしたくないけどさ。修学旅行を6月の話にすればよかったなあ。

なんか今まで出しそびれていた“第3体育館”ですが、体育館で女子バスケ部以外が練習していないという事実を踏まえると体育館が3つ存在するという仮定が生まれてきます。第1=男女バレー部、第2=男子バスケ部という割り振りのつもりです。本編中の交流戦の男子の試合も第2体育館(第3と見た目は同じ)で行われていたという脳内設定。流石にバレー部が存在しない学校はほぼ皆無だと思いますし。

なんだかんだでこの二次創作連作もペースは遅いものの着実に進んでますよね。まあ文章は相変わらずのダメっぷりだけど。それでも言い回しが思いつかなくても誤魔化す方法はすぐに出てくるようにはなりました。いい言い回し自体が思いつかないのは相変わらずですが。

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