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2009-01-17(Sat)

一年次03月中旬:「男の友情」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



一年次03月中旬:「男の友情」








(1)ハプニングハズカム

もう見ごろといってもいい位に咲き乱れる梅を横目で見ながら私は呟いた。
「春ももうすぐよね」
眞一郎君も頷きながら答えてくる。
「梅に鶯、タンポポに土筆、蝶々、そしてしだれ桜、チューリップ、筍、蛍烏賊に白海老、桜鱒」
彼の挙げた春の風物詩はなんか後半食べ物だけになってしまっている。そういえばそろそろお昼ごろだ。
「あーなんか聞いてるだけでお腹減ってきたわ」
「愛ちゃんところでも寄ってくか?」
「…今川焼きは春のものじゃないわよ」
私と眞一郎君はパボーレ内の本屋で絵本を買って外に出た後、そういうとりとめもないことを話しながら歩いていた。なぜがか辺りにはあまり人影はいない。日曜の昼だというのに。そんな時、私たちの少し前の所にある公園から二人連れの男たちが出てきた。
「まったくもってムカツクぜ。俺のがゼッテーいい男だっつーんだよ」
「マジっすよねー」
男たちは髪を何色にも染め分け鼻などにピアスをつけている。そしてズタズタに切り裂いたジーンズや鎖つきの皮ジャンのポケットに手を突っ込んで歩いている。いかにもな不良ですとの自己アピールの塊だ。正直ああいう手合いは苦手だ。関わりたくはない。だが男たちはパボーレにでも向かうのか私たちの方に歩いてくる。私は思わず眞一郎君の手をぎゅっと握り締めていた。男たちはすぐに私たちに気づくと私たちの方に近づいてきた。
「よーよー見せ付けちゃってくれんじゃねーか」
「まったくっすよねー」
男たちは片方は顔を上に上げもう一人は顔を下に向けたまま私たちを睨んで来る。なんで彼らは人の顔をちゃんとまっすぐ見て話が出来ないのだろうか。
「俺今よー彼女に振られてチョー機嫌悪いっつーの」
「ですよねー」
「そんな俺の前でいちゃついてんじゃねーよ」
「ほんとっすよねー」
男たちの無茶な因縁に私はちょっと苛立ってしまう。
「貴方達にそんなこと言われる筋合いはないと思いますけど」
「なめてんのかよ!」
男の啖呵に一瞬私は体を縮ませてしまう。余計なことを言ってしまったかもしれない。
「暫く彼女じゃなく看護婦さんといちゃつかせてやろーか」
「やりましょーよ」
男たちは指の関節を鳴らし始めた。眞一郎君の手から汗が流れる。いや私の汗だろうか。どうしよう。逃げようか。ああでも私はともかく眞一郎君は足が遅いからきっと逃げられない。どうしよう。私が時間を稼いで眞一郎君を逃がそうか。でも私は喧嘩なんかしたことがない。避けるだけなら持ち前の反射神経でなんとかなりそうだが、攻撃せずに避けるだけじゃそんなに時間は稼げない。きっとすぐに捕まえられてしまう。どうしよう。どうすれば眞一郎君を守れるんだろう。私の緊張の際立ちが極限に達した時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「何やってんだ」
「三代吉…」
声の主は野伏君だった。彼は不良たちを睨みつけ近づいていく。不良たちも負けずに睨み返す。だが野伏君も全く怯まない。
「ケッ!」
暫く睨みあいをつづけた不良は地面に唾を吐くと私の眞一郎君を横切って先に進んでいく。私はほっと胸を撫で下ろした。
「助かったよ三代吉」
眞一郎君のお礼に私も同意する。
「本当あのままだったらどうなっていたか」
「いや、余計な真似だったかな」
謙遜する野伏君に私は違和感を感じる。彼は一旦褒めたら最後、調子に乗りすぎるような人じゃなかったろうか。
「お前なら一人でもなんとかなったかもな」
彼が眞一郎君を見つめながら発した言葉に私は耳を疑った。どういうことだろうか。私の戸惑いに気づいたのかどうかはしらないが野伏君は近くの公園を見た後で眞一郎君を優しげな目で見つめた。
「あの時もこの辺りだったよな」
「…ああ言われて見ればそうか」
眞一郎君も何か思い出したように懐かしげな瞳で公園を見つめる。
「どういうこと?」
思わず口から出てしまった私の疑問。野伏君は私をも優しげな目で見つめると語り始めた。
「そうだな、あれはたしか中三の2月頭だったと思う…」


(2)蒼い腫る

奴の噂はちょくちょく耳にしていた。地元の名士、仲上酒造の一人息子。穏やかで当たり障りの無い男。ようは金持ちのお坊ちゃんだ。中3になって初めて同じクラスになった時、こともあろうに奴は学校のアイドルとも言える湯浅比呂美と言葉を交わしていた。何を喋っていたのかは聞こえなかったし、二言くらいの短い時間だったとはいえ、俺も話したことがないというのに。なんで奴は気軽そうに話しかけてるんだよとか思った。気に食わなかった。何もかもだ。

そして夏休みが終わり2学期が始まると新しい噂が舞い込んでくる。湯浅比呂美の両親が亡くなったらしいと。そして彼女は仲上家が保護者…未成年何たら人とかいう…となって居候させるとのことだ。なんだよその漫画みたいな展開は。俺はそれ以来さらに仲上眞一郎が気に食わなくなった。

そして翌年の2月になったばかりのころ、俺はパボーレに服を買いに行った。そして色々と物色したが結局気に入るものが見つからず。俺は遅い昼飯を食って帰ることにした。それなりの腹ごなしが終わり一階に降りる途中、俺は本屋に見知った顔がいるのに気がついた。奴だ。仲上眞一郎だ。俺は奴に気づかれないようにこっそりと近づく。俺は目を疑った。奴が物色しているのは児童書のコーナーだったのだ。絵本?中学生にもなって?いや妹や弟のためのものかも…違う、奴は一人息子のはずだ。混乱する俺の存在に気づかないままに奴は一冊の絵本を取ってレジへと向かう。するとレジにいるパートのおばちゃんが奴に話しかけてきた、
「ああ、やっぱり買いに来たのね。このシリーズの新刊」
「え、ええ、好きなんですよ」
奴は照れながらもはっきりとそう答えた。これで確定した。間違いない。絵本は奴が自分の物として買ったのだ。中学生にもなって絵本とはガキっぽい奴だ。そして精算を終えると奴は嬉しそうな顔で本屋を後にする。俺はますます奴が気に入らなくなった。

パボーレから町の中心部へ抜ける道は一本しかない。他の道はみんな遠回りになってしまう。俺は不本意ながら奴の後ろ30メートルくらいの距離を歩くことになった。俺が半目で奴の後姿を眺めていると奴は突然公園の前で立ち止まってポケットから携帯電話を取り出した。誰が相手なのかはしらないが奴の電話はすぐに終わらない。歩き続ける俺と立ち止まっている奴との距離はどんどん縮んでいく。そして俺が奴の後ろまで来た時要約奴は電話を閉じる。そして俺は携帯をポケットに仕舞い込む奴の横を通り過ぎるときに少し意地悪な言葉をかけてやる。
「中学生が絵本かよ。お子ちゃまだな」
そしてそのまま横を通り過ぎた俺には奴の顔は見られない。どんな面をしてるのだろうか。それを想像するとやけに楽しくなった。だが突然奴の走り出す足音が聞こえ、俺が思わず振り向くとちょうど奴の拳が顔面目掛けて飛んでくるところだった。喧嘩にはいささか自信がある俺もさすがにかわし切れない。奴の拳が俺の顔面を捉える。
「何しやがる!」
奴のパンチはたいして利かなかった為、俺はすぐに反撃に転じることができた。俺の拳が奴の顔を貫く。そしてバランスを崩し奴は倒れた。
「けっ、弱いくせに殴りかかってくんじゃねーよ」
やはりお坊ちゃんだ。喧嘩慣れしてない。子供のころからいつか兄貴をぶちのめそうと鍛えてきた俺の敵ではない。だが俺はその場を立ち去ろうとするその時、奴の手が俺の足首を掴んできた。
「まだやる気かよ!」
俺は起き上がりかけた奴の胸倉を掴み上げ反対の手でボディブローを叩きこむ。そして奴は胃液をはいて倒れる。今度こそ立ち上がらないだろう。そう踏んでた俺は奴が起き上がるのを見て目を疑った。
「勝ち目なんてないだろ!なんで立ち上がってくるんだよ!」
俺は叫びながら奴に回し蹴りを食らわす。だが奴はまたすぐに起き上がってくる。俺は徐々に焦りを感じ始めていた。

夕焼けが公園の遊具をシルエットにして見せている。結構綺麗なんだななどと起き上がりながら思った俺はすぐに鼻血を手でふき取った。ひょっとしたら顔にはいくつか腫れている部分が出来てるかも知れない。だが奴よりはましだろう。奴の顔はもうボロボロの状態だ。でもそれでも奴は倒れない。いや何度倒しても立ち上がってくるのだ。その間に俺も何度か奴の攻撃をまともに食らってしまった。その結果、俺も奴も今は肩で荒い息をしている。奴がどれだけ打たれ強くとも流石にもう限界に近いだろう。今度こそ倒れてくれよと願いながら俺は奴の顔に向かって拳を繰り出した。そして奴もまた俺目掛けて拳を突き出してくる。そして俺たちは互いの拳をもろに食らって二人とも地面に倒れこんだ。もう起き上がる気力もない俺は息を切らせながらに奴に聞いてみた。
「そんなに…絵本が大事なのか?」
奴もまた立ち上がることが出来ないのか倒れたままで息を荒げながら答えてくる。
「当たり前だ!絵本は俺の夢なんだ!夢を馬鹿にされて…黙ってられるか!」
「夢…か…」
俺の夢は何なんだろう。いやそれ以前に俺にはそこまでかけて守らなきゃならないものがあるのだろうか。自問自答しても無駄だ。わかっている。俺にはそんなものは無い。それに気がつくと俺は無性に奴が羨ましくなってきた。
「悪かった…もう馬鹿にしない…だからさ…」


(3)春という字

私は野伏君の思い出話を聞いて驚かずにはいられない。あのやさしい眞一郎君が喧嘩を?しかも眞一郎君がすごく打たれ強いとか。そういえば私が停学中に私を侮辱した男子と殴り合いの喧嘩をしたらしいことは朋与から聞いている。それに眞一郎君の体は意外なほど筋肉質だ。夜のほうも結構すごいし。言われてみれば納得が出来る事だ。野伏君は驚きながらも納得している私を見つめて話を続けた。
「俺はあの時思ったんだ。こいつみたいになりたいって。自分の本当に大切なものは全てをかけて守ろうとする…それってなんか格好いいよな。だから、湯浅さんも安心していいんだぜ」
私は彼の言葉に衝撃を受けた。さっきまで私はどうしたら眞一郎君を守れるのか悩んでいた。でもそれは私の傲慢だったのだ。眞一郎君ならたとえ自分がボロボロになったとしても大切なものである私だけは守ってくれる。そしてボロボロになりながらも無事な私の姿を見て喜んでくれる。そんな人だったのだ。もし彼が無傷でも私がほんの少しでも傷を負っていれば彼の心はもっとずっと傷ついてしまうだろう。私は彼を守ろうなどと考えず彼の決断に全てを任せるべきだったのだ。彼は絶対私を守ってくれるのだから。
「ごめんね」
「うん、どうした?」
「ううん、なんでも」
私の謝罪は小声すぎて眞一郎君には聞き取れなかったようだ。彼は野伏君の言葉に照れまくってそれどころではなかったのだ。
「ま、とにかく助かったよ。お礼に飯でも奢ろうか?」
「いや、今はいいよ」
「じゃ、今度飯くいにいくか?」
「いや、飯よりも別な事で返してもらうよ」
「いいぜ。何だってしてやるよ」
そう言いながら肩を抱き合って笑いあう二人を見て私はちょっとだけ野伏君が羨ましくなった。男の子同士の友情。それは眞一郎君から私へは与えられないものだ。まあ男の女の恋愛に関しては独り占め出来てるんだけど。私は眞一郎君たちの前に回りこんで一つの提案を出した。
「奢るかどうかはともかく、愛ちゃんの所行くんでしょ?一緒に行きましょ?」
「おう」
「そうだな腹減ってきたよ」
そして私たちは3人で今川焼き屋を目指して歩き始めた。




###########

あとがき:

普通に考えたなら三代吉は眞一郎の絵本について何も知らされてないんだろうけど、それじゃドラマにならないので知ってることにしました。本編中で絵本について三代吉が話さないのは眞一郎が嫌がるからあまり触れないようにしようとしているってことにします。かなり無理やりですね。

ラブコメ漫画でカップルに絡んでくる不良。あだち充とかだと定番だったけど最近見ない気がするなあ。

ちなみに本編でも眞一郎は結構タフですよ。徹夜とかけっこうしてるし。麦端踊りの時は2日続けて徹夜ですしね。

さすがにキャンディーズはオッサンホイホイすぎたかもと我ながらに思う。
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