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2008-05-12(Mon)

二年次01月中旬:「高岡キャプテンと180度開脚」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



一年次01月中旬:「高岡キャプテンと180度開脚」(暫定非公開解除)








「うわっ、すごいじゃん。比呂美」
朋与の声が体育館に響く。そこではバスケ部のメンバーが柔軟運動をしていた。今年の年始は正月過ぎにいきなり豪雪に見舞われため部活が中止となり、そのため今日がバスケ部の初練習となったのだ。そこで比呂美は180度の開脚運動を披露していた。朋与達には初めて見せることになる。年末にも冬休み中のバスケ部の練習は1度あったが、そのたった一度の練習を比呂美は遅刻してしまったのだ。なおバスケ部の練習が年末に一度しかなかったのは、年末間近に体育館の内装工事が行われたためである。ちなみに比呂美が年末の部活に遅刻した理由は昨晩遅くまで眞一郎と「お楽しみ」を続けすぎて寝坊しまったためなのだが、本当の理由は当然ながら部員たちには話してはいない。
「本当、すごい」
「やわらかいなーっ。羨ましい」
「キャプテンに追いついたねーっ」
ひたすらに感心する部員たち。そんな彼らを遠めに唯一人キャプテンである高岡ルミだけが比呂美を複雑な表情で見つめ続けるのだった。

「はい、じゃ、今日はこれで解散」
「お疲れ様でしたーっ」
高岡キャプテンの宣言によってバスケ部の練習が終わり、部員たちは後片付けをしたり、更衣室へ向かったりしている。比呂美もまたタオルで汗を拭きながら更衣室に進み始めていた。
「あ、比呂美はちょっと、話があるから」
「あ、はい」
高岡キャプテンの話とはなんだろうと考えつつも比呂美はキャプテンに歩み寄る。ャプテンは体育館の奥の角のほうへ比呂美を先導していった。二人が体育館の隅に辿り着くと他の部員は全員体育館から姿を消していた。そして辺りは静寂で満ちる。
「まずはおめでとう。でいいのかしら?」
「え?」
「180度開脚よ」
「ああ、おかげさまで。私も出来るなんて思っていなかったですよ。いやあ、急に出来るようになることってあるんですね」
比呂美は微笑みながらキャプテンに返す。だがその言葉を高岡は否定した。
「とぼける必要はないわよ。膜。あげちゃったんでしょ?」
息を呑む比呂美。高岡は言葉を続けた。
「もしかして、強引に奪われた。とか?」
「違います!!」
比呂美は高岡の疑念を激しく否定した。高岡は安心したように胸を撫で下ろす。
「そう、じゃおめでとう。でいいのよね」
だが比呂美は高岡の祝福の言葉に複雑な表情を見せる。高岡は首を傾げながら尋ねた。
「嬉しそうじゃないわよね」
比呂美は自嘲しながら呟いた。
「ベストだと、胸を張って言える形じゃなかったんです」
「後悔してるの?別の人にしたほうが良かったとか」
「“人”に対してはしてないです。全く。あくまでも“形”に後悔しているだけです」
「良く分からないわ」
「すみません。これ以上は話すわけには…でも良く分かりましたね。経験済みだって」
比呂美は高岡の話をはぐらかしつつ質問をぶつけた。
「何言ってるの。あなた今まで開脚、手を抜いていたでしょ?膜を大事にしようとして」
「あ、あれは…」
比呂美は高岡の言葉を否定しようとするも、それが事実であることはすでに自覚できていた。
「…無意識です…」
「そう…でも可笑しかったわよ。昔のあなた。うちの中学のバスケ部に入部した頃、あなた、私の180度開脚を見て羨ましがったわよね。私も出来るようになりたいって。でも処女膜が破れるかもしれないって教えたら、ちゃんと開脚を手加減してるんだもの」
比呂美は顔を赤らめ高岡から目をそらした。自分ですら最近まで気づかなかった無意識を彼女は見抜いていたのだ。それも処女膜を大事にすると言う“女”の部分を。高岡はそんな比呂美を微笑みながら見つめる。
「で、相手は?四番?」
「いいえ、違います。全然、違います」
「じゃあ、同居人だった子?仲上の…」
「…はい、彼です…本当はずっと好きだったんです」
「そう、仲上の…」
仲上の名を自分から挙げたものの高岡の表情は複雑なものになっていた。
「…あなたは仲上の嫁になるのかしら…」
「あ、はい、婚約は成立しましたし」
「あ、許嫁だったとか?」
「い、いいえ、自由恋愛です」
「そう…」
比呂美は仲上の名を出した後の高岡の態度に違和感を感じる。
「あの…眞一郎君と…彼と何かあったんですか?」
「あ、ううん、何もないわよ。ごめん、紛らわしかったわね。私が気にしているのは“仲上家”よ」
「仲上家?」
比呂美が聞き返すと高岡は背を向けて呟いた。
「うちはね…高岡はね…ずっと仲上をライバル視してるの。仲上を越える影響力。それを手に入れるために高岡はずっと政略結婚を繰り返してきた…」
比呂美は自分の耳を疑った。仲上家を敵視する人たちがいるなんて。でも高岡もかなりの名士だったはずだ。ありえない話ではないのだろうと比呂美は感じた。
「おかしいでしょう?仲上は特にどこも敵視していないのに…そう、うちは古いのよ。古すぎるのよ。考え方も何もかも。仲上とは違う…」
高岡は一旦深呼吸すると恐る恐る言葉を搾り出した。
「…私ね、許婚がいるの…」
高岡はその衝撃的な告白で一旦言葉を区切り、一呼吸おいた後また告白を続けた。
「4歳上の医大生。医者の家系でね。名家よ。文句なく。でも、それでも…あたしは…」
再び言葉を区切る高岡は大きく息を吸い込んだ。
「好きになれない!ぶくぶくと太った体!にやついた目つき!薄い頭!そしてなにより下品すぎる言葉!」
大声を出しすぎ高岡は肩で息をしている。比呂美は声も出せずに彼女をただ見ていることしか出来なかった。
「…だから、私は、あんな奴に、処女を与えたくはなかった。でも適当な相手で捨てるような勇気も持てなかった…だから、私は…激しい運動で処女膜を破ろうと思った」
高岡は比呂美の方に向き直り彼女に自嘲を見せる。
「お笑いだわ。あれだけやってもまだ私の処女膜は健在なんだもの。そうするうちに近くにいたあなたは開脚を手加減しつつ自由恋愛で処女膜を失ってる…」
「正直あなたが仲上に引き取られたときは驚いたわ。私が目を掛けていた後輩が仲上に近しい人間だったなんて。私を苦しめる元凶の仲上に…」
高岡は比呂美に対して冷ややかな視線を投げつけた後、目を瞑って呟いた。
「ごめんなさい。八つ当たりね。でもどうしても私は仲上に抵抗を感じてしまうの…」
それきり高岡は口を閉じたため、周りの空気は静寂へと冷めていく。比呂美は黙り込んだ高岡をしばらく見つめた後、意を決して口を開いた。
「あの、差し出がましいかも知れませんが…その許婚のことをもっと真剣に見つめて、真剣に愛そうと努力すべきです。そしてどうしても愛せないというなら…破談にしてもらうべきです」
「…親に逆らえと?」
「はい、愛せるなら、逆らわずに済むならそれにこしたことはないです。でも…愛のない…いえ、愛まで辿り着けない結婚はしてはいけないと思うんです。そう、たとえ親に逆らってでも…」
何か思うところがあるのだろうか、高岡はただ比呂美の言葉を黙って聞いている。
「私にそれをいう資格があるのか分かりませんけど…」
比呂美はそう言い置きしてから後を続ける。
「私もね、父親の言いなりで生きていた類の人間なんです。結局、父の死までその呪縛から逃れることは出来なかった…後悔してるんです。あの人が生きているうちに自分の意志で人生を歩んでいけるようになりたかった。あなたは間違っているとちゃんと言い返したかった…」
そして比呂美の目から涙が一粒零れ落ちた。
「…お父さんに一人の人間として認めてもらいたかった…」
話を終えて涙を拭う比呂美。そんな彼女を黙って見つめていた高岡はやがて口を開いた。
「あなたのいう通りだわ。そうね、とりあえず努力で愛せるのかどうか確かめてみましょう」
比呂美は高岡が自分の言い分を認めてくれたことに思わず微笑むのだった。

翌日、比呂美たちバスケ部員が準備運動をしている時のこと。高岡キャプテンの隣で柔軟運動をしていた部員が疑念の声をあげた。
「あれ、キャプテン?調子悪いんですか?」
彼女は高岡キャプテンが開脚を180度まで開かずに終えてしまったことに気づいたのだ。高岡は戸惑いながら答える。
「あ、うん、そうね。少し調子悪いみたい」
そんな彼女を比呂美は準備運動の手を休めて見つめていた。すると高岡キャプテンも比呂美と目を合わせてきた。彼女は少しバツの悪そうな顔を比呂美に見せる。比呂美は高岡キャプテンに微笑みかけると、彼女もまた微笑を返してくるのだった。



###########

あとがき:

見直しのついでにあとがきをつけてみる。書き終えた時はそうは思わなかったが、今見るとすごく短い話だ。つーか長い話が多すぎるだけか。長い話が多いならSSとか呼ばないほうが本当はいいとのだが、その辺はあまり気にしないようにしよう。

今回、高岡家を地元の名士の一つにしてしまったが、ようは高岡キャプテンのリーダーシップが親の教育によってもたらされたものとしたかったからである。比呂美が優秀さを親に強要されていたというくだりと類似性を持たせるために。

後、高岡キャプテンのその後についてはやりたいとは思ってますがなんかヘンテコな構成の話になりそうなので現状では未定とします。

あ、最終話での眞一郎の告白は終業式の前日くらいのつもりです。乃絵の入院からちょっと日にちが経っていると。(本当はこれを書いた時点では日付の推測をまともにやってなかっただけだ)
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