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2009-01-17(Sat)

一年次03月中旬:「男の友情」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



一年次03月中旬:「男の友情」








(1)ハプニングハズカム

もう見ごろといってもいい位に咲き乱れる梅を横目で見ながら私は呟いた。
「春ももうすぐよね」
眞一郎君も頷きながら答えてくる。
「梅に鶯、タンポポに土筆、蝶々、そしてしだれ桜、チューリップ、筍、蛍烏賊に白海老、桜鱒」
彼の挙げた春の風物詩はなんか後半食べ物だけになってしまっている。そういえばそろそろお昼ごろだ。
「あーなんか聞いてるだけでお腹減ってきたわ」
「愛ちゃんところでも寄ってくか?」
「…今川焼きは春のものじゃないわよ」
私と眞一郎君はパボーレ内の本屋で絵本を買って外に出た後、そういうとりとめもないことを話しながら歩いていた。なぜがか辺りにはあまり人影はいない。日曜の昼だというのに。そんな時、私たちの少し前の所にある公園から二人連れの男たちが出てきた。
「まったくもってムカツクぜ。俺のがゼッテーいい男だっつーんだよ」
「マジっすよねー」
男たちは髪を何色にも染め分け鼻などにピアスをつけている。そしてズタズタに切り裂いたジーンズや鎖つきの皮ジャンのポケットに手を突っ込んで歩いている。いかにもな不良ですとの自己アピールの塊だ。正直ああいう手合いは苦手だ。関わりたくはない。だが男たちはパボーレにでも向かうのか私たちの方に歩いてくる。私は思わず眞一郎君の手をぎゅっと握り締めていた。男たちはすぐに私たちに気づくと私たちの方に近づいてきた。
「よーよー見せ付けちゃってくれんじゃねーか」
「まったくっすよねー」
男たちは片方は顔を上に上げもう一人は顔を下に向けたまま私たちを睨んで来る。なんで彼らは人の顔をちゃんとまっすぐ見て話が出来ないのだろうか。
「俺今よー彼女に振られてチョー機嫌悪いっつーの」
「ですよねー」
「そんな俺の前でいちゃついてんじゃねーよ」
「ほんとっすよねー」
男たちの無茶な因縁に私はちょっと苛立ってしまう。
「貴方達にそんなこと言われる筋合いはないと思いますけど」
「なめてんのかよ!」
男の啖呵に一瞬私は体を縮ませてしまう。余計なことを言ってしまったかもしれない。
「暫く彼女じゃなく看護婦さんといちゃつかせてやろーか」
「やりましょーよ」
男たちは指の関節を鳴らし始めた。眞一郎君の手から汗が流れる。いや私の汗だろうか。どうしよう。逃げようか。ああでも私はともかく眞一郎君は足が遅いからきっと逃げられない。どうしよう。私が時間を稼いで眞一郎君を逃がそうか。でも私は喧嘩なんかしたことがない。避けるだけなら持ち前の反射神経でなんとかなりそうだが、攻撃せずに避けるだけじゃそんなに時間は稼げない。きっとすぐに捕まえられてしまう。どうしよう。どうすれば眞一郎君を守れるんだろう。私の緊張の際立ちが極限に達した時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「何やってんだ」
「三代吉…」
声の主は野伏君だった。彼は不良たちを睨みつけ近づいていく。不良たちも負けずに睨み返す。だが野伏君も全く怯まない。
「ケッ!」
暫く睨みあいをつづけた不良は地面に唾を吐くと私の眞一郎君を横切って先に進んでいく。私はほっと胸を撫で下ろした。
「助かったよ三代吉」
眞一郎君のお礼に私も同意する。
「本当あのままだったらどうなっていたか」
「いや、余計な真似だったかな」
謙遜する野伏君に私は違和感を感じる。彼は一旦褒めたら最後、調子に乗りすぎるような人じゃなかったろうか。
「お前なら一人でもなんとかなったかもな」
彼が眞一郎君を見つめながら発した言葉に私は耳を疑った。どういうことだろうか。私の戸惑いに気づいたのかどうかはしらないが野伏君は近くの公園を見た後で眞一郎君を優しげな目で見つめた。
「あの時もこの辺りだったよな」
「…ああ言われて見ればそうか」
眞一郎君も何か思い出したように懐かしげな瞳で公園を見つめる。
「どういうこと?」
思わず口から出てしまった私の疑問。野伏君は私をも優しげな目で見つめると語り始めた。
「そうだな、あれはたしか中三の2月頭だったと思う…」


(2)蒼い腫る

奴の噂はちょくちょく耳にしていた。地元の名士、仲上酒造の一人息子。穏やかで当たり障りの無い男。ようは金持ちのお坊ちゃんだ。中3になって初めて同じクラスになった時、こともあろうに奴は学校のアイドルとも言える湯浅比呂美と言葉を交わしていた。何を喋っていたのかは聞こえなかったし、二言くらいの短い時間だったとはいえ、俺も話したことがないというのに。なんで奴は気軽そうに話しかけてるんだよとか思った。気に食わなかった。何もかもだ。

そして夏休みが終わり2学期が始まると新しい噂が舞い込んでくる。湯浅比呂美の両親が亡くなったらしいと。そして彼女は仲上家が保護者…未成年何たら人とかいう…となって居候させるとのことだ。なんだよその漫画みたいな展開は。俺はそれ以来さらに仲上眞一郎が気に食わなくなった。

そして翌年の2月になったばかりのころ、俺はパボーレに服を買いに行った。そして色々と物色したが結局気に入るものが見つからず。俺は遅い昼飯を食って帰ることにした。それなりの腹ごなしが終わり一階に降りる途中、俺は本屋に見知った顔がいるのに気がついた。奴だ。仲上眞一郎だ。俺は奴に気づかれないようにこっそりと近づく。俺は目を疑った。奴が物色しているのは児童書のコーナーだったのだ。絵本?中学生にもなって?いや妹や弟のためのものかも…違う、奴は一人息子のはずだ。混乱する俺の存在に気づかないままに奴は一冊の絵本を取ってレジへと向かう。するとレジにいるパートのおばちゃんが奴に話しかけてきた、
「ああ、やっぱり買いに来たのね。このシリーズの新刊」
「え、ええ、好きなんですよ」
奴は照れながらもはっきりとそう答えた。これで確定した。間違いない。絵本は奴が自分の物として買ったのだ。中学生にもなって絵本とはガキっぽい奴だ。そして精算を終えると奴は嬉しそうな顔で本屋を後にする。俺はますます奴が気に入らなくなった。

パボーレから町の中心部へ抜ける道は一本しかない。他の道はみんな遠回りになってしまう。俺は不本意ながら奴の後ろ30メートルくらいの距離を歩くことになった。俺が半目で奴の後姿を眺めていると奴は突然公園の前で立ち止まってポケットから携帯電話を取り出した。誰が相手なのかはしらないが奴の電話はすぐに終わらない。歩き続ける俺と立ち止まっている奴との距離はどんどん縮んでいく。そして俺が奴の後ろまで来た時要約奴は電話を閉じる。そして俺は携帯をポケットに仕舞い込む奴の横を通り過ぎるときに少し意地悪な言葉をかけてやる。
「中学生が絵本かよ。お子ちゃまだな」
そしてそのまま横を通り過ぎた俺には奴の顔は見られない。どんな面をしてるのだろうか。それを想像するとやけに楽しくなった。だが突然奴の走り出す足音が聞こえ、俺が思わず振り向くとちょうど奴の拳が顔面目掛けて飛んでくるところだった。喧嘩にはいささか自信がある俺もさすがにかわし切れない。奴の拳が俺の顔面を捉える。
「何しやがる!」
奴のパンチはたいして利かなかった為、俺はすぐに反撃に転じることができた。俺の拳が奴の顔を貫く。そしてバランスを崩し奴は倒れた。
「けっ、弱いくせに殴りかかってくんじゃねーよ」
やはりお坊ちゃんだ。喧嘩慣れしてない。子供のころからいつか兄貴をぶちのめそうと鍛えてきた俺の敵ではない。だが俺はその場を立ち去ろうとするその時、奴の手が俺の足首を掴んできた。
「まだやる気かよ!」
俺は起き上がりかけた奴の胸倉を掴み上げ反対の手でボディブローを叩きこむ。そして奴は胃液をはいて倒れる。今度こそ立ち上がらないだろう。そう踏んでた俺は奴が起き上がるのを見て目を疑った。
「勝ち目なんてないだろ!なんで立ち上がってくるんだよ!」
俺は叫びながら奴に回し蹴りを食らわす。だが奴はまたすぐに起き上がってくる。俺は徐々に焦りを感じ始めていた。

夕焼けが公園の遊具をシルエットにして見せている。結構綺麗なんだななどと起き上がりながら思った俺はすぐに鼻血を手でふき取った。ひょっとしたら顔にはいくつか腫れている部分が出来てるかも知れない。だが奴よりはましだろう。奴の顔はもうボロボロの状態だ。でもそれでも奴は倒れない。いや何度倒しても立ち上がってくるのだ。その間に俺も何度か奴の攻撃をまともに食らってしまった。その結果、俺も奴も今は肩で荒い息をしている。奴がどれだけ打たれ強くとも流石にもう限界に近いだろう。今度こそ倒れてくれよと願いながら俺は奴の顔に向かって拳を繰り出した。そして奴もまた俺目掛けて拳を突き出してくる。そして俺たちは互いの拳をもろに食らって二人とも地面に倒れこんだ。もう起き上がる気力もない俺は息を切らせながらに奴に聞いてみた。
「そんなに…絵本が大事なのか?」
奴もまた立ち上がることが出来ないのか倒れたままで息を荒げながら答えてくる。
「当たり前だ!絵本は俺の夢なんだ!夢を馬鹿にされて…黙ってられるか!」
「夢…か…」
俺の夢は何なんだろう。いやそれ以前に俺にはそこまでかけて守らなきゃならないものがあるのだろうか。自問自答しても無駄だ。わかっている。俺にはそんなものは無い。それに気がつくと俺は無性に奴が羨ましくなってきた。
「悪かった…もう馬鹿にしない…だからさ…」


(3)春という字

私は野伏君の思い出話を聞いて驚かずにはいられない。あのやさしい眞一郎君が喧嘩を?しかも眞一郎君がすごく打たれ強いとか。そういえば私が停学中に私を侮辱した男子と殴り合いの喧嘩をしたらしいことは朋与から聞いている。それに眞一郎君の体は意外なほど筋肉質だ。夜のほうも結構すごいし。言われてみれば納得が出来る事だ。野伏君は驚きながらも納得している私を見つめて話を続けた。
「俺はあの時思ったんだ。こいつみたいになりたいって。自分の本当に大切なものは全てをかけて守ろうとする…それってなんか格好いいよな。だから、湯浅さんも安心していいんだぜ」
私は彼の言葉に衝撃を受けた。さっきまで私はどうしたら眞一郎君を守れるのか悩んでいた。でもそれは私の傲慢だったのだ。眞一郎君ならたとえ自分がボロボロになったとしても大切なものである私だけは守ってくれる。そしてボロボロになりながらも無事な私の姿を見て喜んでくれる。そんな人だったのだ。もし彼が無傷でも私がほんの少しでも傷を負っていれば彼の心はもっとずっと傷ついてしまうだろう。私は彼を守ろうなどと考えず彼の決断に全てを任せるべきだったのだ。彼は絶対私を守ってくれるのだから。
「ごめんね」
「うん、どうした?」
「ううん、なんでも」
私の謝罪は小声すぎて眞一郎君には聞き取れなかったようだ。彼は野伏君の言葉に照れまくってそれどころではなかったのだ。
「ま、とにかく助かったよ。お礼に飯でも奢ろうか?」
「いや、今はいいよ」
「じゃ、今度飯くいにいくか?」
「いや、飯よりも別な事で返してもらうよ」
「いいぜ。何だってしてやるよ」
そう言いながら肩を抱き合って笑いあう二人を見て私はちょっとだけ野伏君が羨ましくなった。男の子同士の友情。それは眞一郎君から私へは与えられないものだ。まあ男の女の恋愛に関しては独り占め出来てるんだけど。私は眞一郎君たちの前に回りこんで一つの提案を出した。
「奢るかどうかはともかく、愛ちゃんの所行くんでしょ?一緒に行きましょ?」
「おう」
「そうだな腹減ってきたよ」
そして私たちは3人で今川焼き屋を目指して歩き始めた。




###########

あとがき:

普通に考えたなら三代吉は眞一郎の絵本について何も知らされてないんだろうけど、それじゃドラマにならないので知ってることにしました。本編中で絵本について三代吉が話さないのは眞一郎が嫌がるからあまり触れないようにしようとしているってことにします。かなり無理やりですね。

ラブコメ漫画でカップルに絡んでくる不良。あだち充とかだと定番だったけど最近見ない気がするなあ。

ちなみに本編でも眞一郎は結構タフですよ。徹夜とかけっこうしてるし。麦端踊りの時は2日続けて徹夜ですしね。

さすがにキャンディーズはオッサンホイホイすぎたかもと我ながらに思う。
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2009-01-13(Tue)

第12話「何も見ていない私の瞳から」考察とメモ書き

まずはメモ書き。


前回からの続き。乃絵の歌声「眞一郎の心の底に湯浅比呂美」を聞いていた眞一郎。離れた位置から乃絵を見守る。堤防の上に地べたを降ろす乃絵。「飛びなさい」だが地べたは歩くだけで飛ぼうとしない。「飛びなさい。ほら」乃絵はしゃがむと地べたを持ち上げる。そして地べたを頭上に持ち上げる。思わず目を見張る眞一郎。羽を動かし嫌がる地べた。眞一郎の足が一歩動く。「やめろ」乃絵は眞一郎には気づかない。「やっぱり駄目なの。自分で決めなきゃ楽しくないの。嬉しくないの。笑えないのね」乃絵は地べたをまた堤防の上に降ろす。「やっぱり自分で決めなきゃ泣けないのね。飛べないあなたを軽蔑してたのは飛べない私と同じだと思ったから。でも違った。あなたは飛ばないことを選んでたの。胸を張ってまっすぐ前を向いて。それは飛ぶことと同じ」乃絵の後ろにはすでに眞一郎の姿はない。

家に戻ってきた眞一郎はかつての比呂美の部屋から明かりもつけずに比呂美に電話をする。乃絵は心配しなくてもいいと。そして電話を切った後で自問自答する。「あいつは何を言ってたんだ。地べたと自分を重ね合わせていたのは俺だ。地べたの凄さに気づかなかったのは俺だ。全ての事に向き合うのを避けてきたのは…俺だ」歯噛みをした眞一郎は押入れの中に入る。「地べたは飛ばないことを選択した。俺は何一つ自分で選んじゃいない。踊りだって、絵本だって、乃絵だって、比呂美だって」震える声で続ける眞一郎。「踊りたくなかったのはうまく踊れなかったからじゃありません!父親と比べられたくなかったからです!絵本が描けないのは気分が乗らないからじゃありません!自分の限界を知るのが怖かったからです!」そして押入れを開くと真剣な目を見せる。両親はベッドで眠っている。母親は声に感づいたのか目覚め掛けるもまた眠ってしまう。「オギャア」赤ん坊の真似をしながら四つんばいで絵本目指して外に這い出してくる眞一郎。そして眞一郎の部屋に明かりが灯る。眞一郎の脳裏に比呂美とのキス、先ほどの地べたを持ち上げる乃絵の姿、愛子からの無理やりなキスがよぎる。そして飛んでいく地べた。

学校の鶏小屋に地べたの姿。乃絵が自宅に戻るとそこには料理を作る純の姿があった。お帰りという純に小さくただいまと返す乃絵。腹減ったろという純に乃絵は抱きつきありがとうを何度も繰り返した。台所の前の廊下にはイヤーマフラーと毛布が脱ぎ散らかされていた。ゴミ箱には純宛の大きな封筒がゴミとして捨てられていた。

麦端祭り当日。着物姿の眞一郎の母は休憩所で踊り手に酒を振舞っていた。踊り手の一人が眞一郎の姿が見えないことに気づく。着付けはとっくに終わってるはずだとする眞一郎の母は着物姿の比呂美に呼びかける。比呂美「私、見てきます」母親は頷いて「用意はあなたの部屋で」「はい」踊り手たちが着替えさせてあげるのかと冷やかしてくる。うまくはぐらかす母親。比呂美は照れながら仲上家に向かう。仲上家では酒蔵の少年がお酒の直接店頭販売をしている。家人用の玄関から中に入る比呂美。比呂美がかつての自分の部屋に入るとそこでは眞一郎がうたた寝をしていた。「手伝おうか」との比呂美の声で目が覚める眞一郎。比呂美の着物姿を見ると似合ってると褒める。礼を言う比呂美もまた眞一郎の和服姿を褒める。酒蔵の少年のお買い上げの声が響く。刀を眞一郎へ差し出す比呂美。「あの後ちゃんと眠れたの?」刀を受け取りながら「いやあ」とはぐらかす眞一郎。刀を腰に差そうとする眞一郎を見つめる比呂美。「夕べはびっくりしちゃって。連絡しちゃって。ごめん」途中で目をそらす比呂美。眞一郎はうまく刀が差し込めない。「え?」「この日のために稽古してきたのに」まだうまく差し込めない眞一郎。「そんなの関係ないって。眠れなかったのは…いや、寝不足くらいがいいんだよ。テンションあがるし」眞一郎に籠手をつける比呂美。「どこが見やすいかな」「え?」「メインの奉納踊り。眞一郎君を一番近い所で見たいなって。やっぱり社務所の辺りかしら」眞一郎の脳裏に乃絵との約束がよぎる。眞一郎は比呂美から目をそむけると小さな声で同意する。比呂美「はいできた」眞一郎は指を動かして籠手の状態を確かめる。「ありがとう…すごいごった返してるし、無理して見ることないよ」その言葉に比呂美は何も答えなかった。

おばあちゃんの写真の傍の床の上、ティッシュ箱の鶏を抱きしめ乃絵は座り込んでいる。「お祭り…見に行かない。ちゃんと自分で決めた事」どこからか鶏の鳴き声。

「よっしゃーっ!出るぞーっ!」「おーっ!!」眞一郎を含めた踊りメンバーが掛け声を掛けると休憩所にいる人たちの拍手が響く。その中には比呂美や眞一郎の母もいる。山車とともに町中を進みながら踊る踊りメンバーたち。

じっとしているのに堪え切れなくなったのか乃絵は立ち上がる。

眞一郎は懸命に踊り続ける。

「すいません」そういって街中を走る愛子。人とぶつかりそうになる。「すいません」愛子は休憩所に駆け寄る。「すいません。遅くなりました」眞一郎の母「あら…いいのよこっちは奉納踊りが終わるまで暇だし」愛子は徳利などを片付けている比呂美の元に近づく。「ごめんね。任せちゃって」比呂美は愛子に気づくと「愛ちゃん、久しぶり」「うわっ、比呂美ちゃん着物似合うーっ」ちょっと照れる比呂美。その時愛子は乃絵の存在に気づく。「あれ?」乃絵を見た比呂美の目が見開かれる。乃絵は比呂美に気づくと逃げるように去っていく。呆然とする比呂美をよそに片付け始める愛子。「眞一郎を見に来たのかな。彼女かあ」「彼女は私です」冷たく言い放つと比呂美は立ち上がって乃絵を追いかけていく。「え?」残された愛子は
暫く呆然としていたがやがてため息をつく。「はぁ、まぁ、私には知らないことばっかりだ」腰を下ろし上を見つめる。街中を走る乃絵を着物姿で追いかける比呂美。乃絵も人ごみの中でうまく走れない。祭りの山車はゆっくりと進んでいく。「石動さん!」比呂美の声で立ち止まる乃絵。立ち止まって向き合う二人の横を山車が通り過ぎていく。乃絵は比呂美を見つめた後また走り出そうとするが比呂美は制止する。「待って!」振り向く乃絵に比呂美は話しかける。「夕べ…夕べ、眞一郎君と何を話したの?眞一郎君言ってくれたの。全部、全部ちゃんとするからって」比呂美の言葉に目を見開く乃絵。比呂美はさらに続ける。「私、ずっと眞一郎君のことが好きだった。きっと眞一郎君も私の事…ごめんなさい」顔を伏せる比呂美。また乃絵を見つめる。「自分勝手な事を言ってるのはわかってる。でもやっと私たち分かり合えたの。やっと私たち素直になれたの。もう…」途中で涙ぐみながらも比呂美は続ける。「ごめんなさい。そっとしておいて。私たち」比呂美の目からあふれる涙をじっと見つめる乃絵。「綺麗よ。あなたの涙」ようやく自分が泣いていることに気づいた比呂美。比呂美が涙を拭く間に去っていく乃絵。

サイレンが鳴り、踊りメンバーは食事休憩に入る。眞一郎は仲間の元から一人離れどこかへ向かう。三代吉が屋台で今川焼きの焼き売りをしている。客の半生とのクレームを適当な事を言ってかわす三代吉。そこに眞一郎が現れウインクをする。眞一郎は屋台の傍の椅子に座って今川焼きを食べる。三代吉は焼き作業をしながら眞一郎に話しかける。
「愛ちゃん、公民館に行ってるからその間店手伝ってんだ」「仲良くやってんだな」三代吉は眞一郎を見て「それよりお前何やってんだよ」眞一郎は三代吉の方を向く。「何って」三代吉はまた焼き作業に戻る。「麦端踊りの花形がこんなところうろついてていいのかって」眞一郎は呆然とする。「本当だ俺何やってんだろ」三代吉は心底呆れ返る。「はあ?」

乃絵はテーブルに座りおばあちゃんの写真の前で耳を塞ぎ祭りの音を聞かないようにする。「うるさい眞一郎!」床にはティッシュ箱鶏が横たわっている。乃絵は足をバタバタさせながら歌う。「眞一郎のお尻のそこにもアブラムシ~♪」そこに電話の音が響き乃絵は電話の方を見つめる。

日が沈んでも山車と花形は踊りつつ町を進んでいく。乃絵は大きな封筒を手に純のバイト先にバイク屋の前まで駆けてきた。息を切らせる乃絵の前にちょうど店の中から純が出てくる。「乃絵…」「電話あった…東京の印刷会社から」純は乃絵をバイク屋の中に入れる。中はやかんの乗ったストーブで暖房されている。そばにはオイルらしきものが。店主たちは祭りを見に行ってるから乃絵がここにいてもいいと言う純。乃絵は階段に座る純を糾弾。「どうして勝手に決めちゃったの?専門学校入るって言ってたのに。どうして急に就職なんて」純は目をそらす。「ばあちゃんのコート」「え?」純は乃絵に向き直る。「おばあちゃん死んでから暫く部屋に閉じこもってただろ。友達とも遊ばなくなって。俺お前の事守ってやらなきゃって思った。ずっと…でもよくわからなくなって来て。俺はお前を守りたいだけなんだって思いたくて訳のわかんない事まで」ゆっくりと目を閉じる純。乃絵「お兄ちゃん?」また乃絵に向き直る純。「俺、お前の事が好きだった」乃絵は平然と答える。「私も純が好きよ」ため息をつく純。「でもそれより多分もう少し好きだったんだ」乃絵は少し不安げな顔。ストーブは部屋を暖め続けている。純「そんな気持ち持つのも変だから。だからあいつにあんなこと頼んで」「あいつ?…わからない。私の事好きでいてくれるのは変な事?何が悪いの?」純は乃絵を見つめている。「キスしてもいいか」「え?」立ち上がる純。「ガキの頃キス魔だっただろ」少しためらいながらも同意する乃絵。「いいわそのかわり就職の事ちゃんと考え直して」目を閉じた乃絵に純はまず額にそして右頬にキス。そしてゆっくりと唇同士が近づいていく。乃絵はそれに気づき目を見開き後ずさる。「お兄ちゃん…」呆然とする乃絵に純は少し悲しげな顔を見せて少し上を見上げる。「俺のしたいキスは多分こういうキスだったんだ…色んな事勝手に決めたけど、お前の傍にいる事がもう辛いんだ」純から目をそらせない乃絵。やがて純の目から涙がこぼれる。乃絵を残してバイク屋を出て行く純。扉は開けっ放し。呆然としている乃絵。燃え続けるストーブ。「眞一郎の心の底に…」乃絵の目にストー部の赤い色が映り込んでいる。乃絵の髪の毛が風で揺れている。「私の心の底に…」目を細める乃絵。「お兄ちゃんの気持ちにも気づかない。湯浅比呂美の気持ちにも気づかない…」雪のふる堤防に強めの風。「眞一郎の本当の気持ちにも気づかない」いつの間にか堤防にいた乃絵。「何も見てない私の瞳から本当に涙なんて流れるのかしら」

雪の中、祭りのメインとなる奉納踊りが始まっている。観衆からは今年の花形は急に良くなったとの声が。眞一郎がなぜ急に上手くなったのか疑問に思っているのだ。他のメンバーと共に舞台の中央で踊る眞一郎。あさみと美紀子や真由も踊りを見に来ている。(めがねとくちびる、おさげ)眞一郎は徹夜で仕上げた絵本の続きを思い出す。「気がつくと雷轟丸は赤い実に誘われてあの丘の上に立っていました。飛びたい。あの赤い実を食べたせいでしょうか。それともこの白い雪のせいでしょうか」目を輝かせて眞一郎を見つめる比呂美。眞一郎の絵本の回想は続く。「それはわかりません。でも雷轟丸は心の底からそう思ったのです」眞一郎は踊り続けながら「そうだ。俺が絵本を書こうと思ったのはあの目が俺が飛べるって信じていてくれたから。君が」眞一郎の瞳に乃絵の姿が映りこむ。乃絵もまた踊りを見に来ていたのだ。眞一郎はまた絵本を思い出し始める。「空を飛びたい。誰の為でなく栄光や記録のためでなく。雷轟丸は飛び立ちました」鳥が飛び立つイメージ。比呂美は眞一郎の目に映存在に気づいたのかはっとして乃絵のほうを見る。眞一郎の気迫に押されたのか鳥が飛びながら騒いでいる。乃絵を見ながら目を細める比呂美。やがて踊りが終わり、比呂美がそれに気づいて舞台を見る。そして踊り手のお辞儀と共に拍手が起きる。比呂美はまた乃絵のいる方を見るも既に彼女の姿はなかった。メインイベントの終わった後の喧騒。あさみと美紀子は眞一郎たちの踊りを褒めながら去っていく。刀と笠を両親や酒蔵の少年に渡す眞一郎。舞台の前で乃絵の姿を探す。だがそこには乃絵はおらず比呂美がいるだけだった。「見てたよ。すごく良かった」「ああ」「比呂美、俺ちょっと…」「石動さんを探しているの?私言っちゃったの。石動さんに私たちの事そっとして置いてって」「え?」驚く眞一郎。「怒った?」「「あ、いや別に…」眞一郎は伏せ目がちに「俺そろそろ行かないと祭りの打ち上げあるから」比呂美の横を通り過ぎていく眞一郎。比呂美は小声で「置いてかないで」
だが眞一郎は気づかず去っていく。「置いてかないで」そう言った後草履を片方脱ぐ比呂美。近くを通り過ぎる子供がそれに気づくも親に引っ張られて通り過ぎてしまう。比呂美は悲しげな顔を見せていた。

大木に登る乃絵。「空からの眺めはどうだった?」

懸命に雪の町を走る眞一郎。「絵本描きあげたんだ」

木登りを続ける乃絵。「上から見下ろしたら私にも見えるようになる?」

閉じた校門をよじ登って校庭に入る眞一郎。鶏小屋の方に向かう。「お前に見てほしくて。感想欲しくてさ」こけそうになりながらも走る。そして眞一郎は大木の高いところにある枝に立つ乃絵の姿に気づく。すると乃絵は枝から跳び下りてしまった。


以上でメモ書き終わり。以下考察。


乃絵が自分の思いに気づいていたことに驚く眞一郎。

東の空が明るくなり始めている。純の電話は何時ごろだったんだ?

飛ぼうとしない地べたを抱えあげる乃絵。海に投げ込む気かよ。

なぜか眞一郎の声が聞こえない乃絵。

本当は自分が飛べない存在だと思っていた乃絵。

乃絵視点による地べたと比呂美の同一視。
5.地べたは飛ばない覚悟をしている→比呂美が眞一郎に依存して生きる覚悟をしている。(第12話時点では誇りを持ってるとはいえないと思うが)

乃絵の独り言の最中にいなくなっている眞一郎。最後まで聞いてかないのか。

家に帰ってきた眞一郎は自室ではなく元比呂美の部屋へ。そして押入れの中で自分の弱さと向き合う眞一郎。少年は恋人の子宮(押入れ)で男に生まれ変わる。

眞一郎の真似セリフシリーズ6「オギャア」一般的な赤ん坊の泣きまね。

乃絵が家に戻ると純は何も聞かずに食事の用意をしてくれていた。乃絵は強い感謝の意。

脱ぎ散らかされた毛布などは自分の殻を脱ぎ捨てようとする前準備か?

着物姿が誰より色っぽい比呂美。

比呂美の思いを応援するような素振りの眞一郎の母。

草履を脱ぐ仕草に妙に色気のある比呂美。

徹夜で疲れたのか居眠りをしている眞一郎。

夕べの電話で踊りの邪魔をすることになったと謝罪する比呂美。彼女は眞一郎が同意することを望んでいる。彼にとっては乃絵は踊りよりもどうでもいいことだと言ってほしいと。

うまく刀がさせないのは比呂美とのコミュニケーションが上手くいかないことを表すのか。

乃絵のために踊るという約束があるから比呂美に踊りを見せるのに消極的な眞一郎。拒絶を感じ取る比呂美。もうちょっと言い方を工夫しないと。

おばあちゃんの写真を見ることもなくティッシュ箱鶏を抱きしめる乃絵。眞一郎への思いを抱き続けているのに祭りに行かないとする彼女は自分の思いに嘘をついている。故におばあちゃんと向き合うことが出来ない。

ティッシュ箱鶏からなぜか鶏の鳴き声。乃絵が鶏のように飛ばないことを選んだ事を表すのか。

踊りながら山車と友に町を進む眞一郎たち。眞一郎は先頭の中央で最重要のポジション。

祭りの手伝いに遅刻してきた愛子。おそらくはわざと。眞一郎と顔を会わさずに済むように。

やはり知り合いだった比呂美と愛子。たまにしか交流はないようだ。

乃絵、比呂美、愛子の三人が始めて揃う。

眞一郎を探しにきた乃絵。だが休憩所にいないので山車の方に向かったのだろう。

彼女は私ですと比呂美は嫉妬しつつも自分に言い聞かせるように。

比呂美の言葉に愛子は眞一郎たち3人の関係が複雑に絡んでいることに初めて気づく。そして自分は最初から蚊帳の外だったのだと。

人ごみの中で上手く走れない乃絵は着物姿の比呂美に追いつかれる。

比呂美は昨晩眞一郎と乃絵が何か話をしたと思い込んでいる。

自分の思いの丈を乃絵にぶつける比呂美。嘘ばかりだった比呂美が乃絵に本当の事を告げるのは恐らく初めての事。

比呂美は独白の途中で眞一郎から告げなければならないことだった事に気づく。自分が言うのはルール違反だと。

泣き虫の比呂美だが本編中では眞一郎にしか涙は見せていない。当然乃絵も初めて見る。

醜い女の嫉妬が流させた涙を綺麗だと言う乃絵。

自分が泣いていることに気づいた比呂美は乃絵を追うよりも化粧が落ちないように涙を拭う事を優先。

客の生煮えクレームを誤魔化す三代吉。生の小麦粉食わせたら腹をこわすだろ。

今川焼き屋の前には山車が通らないのだろう。わざわざ屋台で営業。

なぜか今川焼きを食べる眞一郎。何通りか理由は考えられる。
 1.乃絵を探していたら今川焼きの屋台と三代吉を発見。少し話をしていこうと思った。
 2.好物を食べて精神的なエネルギーを蓄えようと無意識に思った。
 3.乃絵の為に踊っている間は休憩所の比呂美と距離を取りたいと無意識的に町をうろついていた。

今度はおばあちゃんの写真の前で目と耳を閉じている乃絵。床に投げ捨てられたティッシュ箱鶏。だが祭りの音は否応なく眞一郎を思い出させる。歌で誤魔化そうとするも自分の歌うアブラムシの唄ですら眞一郎の事。

日が沈んでも山車と踊り手の行進は続く。殆ど踊りっぱなし。

階段に座る純。これは純がこれから上に進んでいこうとする前準備ということなのか。

乃絵にも昔は友達がいたらしい。

比呂美の言葉が効いたのか乃絵に思いを告げる純。

眞一郎との契約を訳のわかんないこととする純。どうやら計算ずくでやった訳じゃないらしい。

純の恋愛感情はストーブらしい。

乃絵は子供のころキス魔だったらしい。おばあちゃんが死ぬ前までの事なのか。

おでこやほほのキスは許すが唇には許さない乃絵。

ストーブの上のやかんの湯気は押さえられない純の思いか。

溢れる純の涙。乃絵は純の涙を初めて見たのだろうか。

なぜかバイク屋に乃絵を残して出て行く純。なぜか扉も開けっ放し。

なぜか背中側のストーブの炎が瞳に映る乃絵。演出的には純の秘めた熱い思いを目にしたということ。開けっ放しの扉からの風が髪の毛を揺らす。髪の揺れは当然ながら心の揺らぎを表す。

純や比呂美の思いに気づかなかった乃絵。直感に優れた彼女だが恋愛感情という自分には未知なものには弱かったようだ。

眞一郎の踊りが急に良くなったと噂する大人たち。メインの奉納踊りでも眞一郎は中央。

観客にはあさみ、美紀子、真由の他にも麦端の生徒であるの眼鏡の子やおちょぼ口でヘアバンドの子の姿もある。他にもいそうな感じ。

結局、踊りを見に来ていた乃絵。でも踊りが終わると同時にいなくなる。

比呂美は眞一郎に乃絵に向かって私たちに関らないでと言ってしまった事を告げる。これでもう眞一郎は乃絵に会う理由は無くなった筈だと思いたい比呂美。だが眞一郎は嘘をついてまで乃絵の所に向かう。

置いてかないでと草履を片方脱ぐ比呂美。だが眞一郎はそれに気づかない。比呂美の前で踊りを見ていた子供が気づくのみ。

乃絵の元に向かう眞一郎。だがその思いの中身は絵本についてのみ。

確かに眞一郎が飛んだと感じた乃絵は自分も大木の上から飛び降りてしまう。第01話などで一人じゃ木から降りられないとした事への対比。

今回の話はパッと見、眞一郎が乃絵を選んだかのように見せる事を重視して作られているが、きちんと見れば眞一郎の乃絵への思いは絵本と踊り絡みだけだとわかる。ミスリードを狙っているのだろうが、それにしても眞一郎の比呂美への態度などちょっと問題がある。せっかく生まれ変わったというのに。ミスリードを生かしつつ生まれ変わった眞一郎もきちんと描く手段はあったはずだ。

以上でとりあえず考察終わり。

2009-01-06(Tue)

徐々に宣伝

さて第11話考察+αも終わったのでぼちぼち宣伝に力を入れていこうかと思う。で「Cyberあまてらす」と「妄想系インデックス」そして「NEWVEL2」に登録してみた。「NEWVEL2」の登録用に二次創作連作にタイトルをつけてみた。“wiped away true tears”…なんかバイファムが見たくなってきたぞ。

2009-01-04(Sun)

一年次02月中旬:「思い出とヴァレンタイン」

true tears 二次創作小説です。本編全話視聴終了済みの方のみご覧ください。



一年次02月中旬:「思い出とヴァレンタイン」








「もうすぐあれだね」
おさげの少女がバスケ部のユニホームを脱ぎながら呟いた。
「あれって?」
長身で色黒の少女がスカートを着ながら尋ねる。
「バレンタインに決まってるでしょ」
そう答えたのは外はね髪の少女だ。彼女はもう着替え終わって鏡で髪型をチェックしている。
「で、誰にあげるの?」
三つ編みにしたの少女の質問を皮切りに更衣室が喧騒に溢れていく。
「お父さんと弟くらいかな」
「えーっ。嘘でしょ」
「あたしは従姉弟かなぁ。あげるなら。小学生だけど」
「みんな義理ばっかり?あたしだけ?本命いるの」
「えぇ!本命いるんだ」
「誰?誰?教えて!」
「えーっ、秘密だよーっ」
そんな黄色い声の会話に交わらずに端っこでスポーツドリンクを飲んでいる少女に別の少女がヘアバンドを外しながら話しかける。
「比呂美さんも今年は本命チョコですかな」
「ご想像にお任せします」
比呂美はすました顔で答えた。
「大体朋与こそ、いい加減チョコあげたい人が出来てもいいと思うんだけど」
「あっちゃーっ、痛いところを突かれた」
比呂美の反撃を軽口でかわす朋与。そして二人は笑いあう。

「それじゃさよなら」
「また明日」
「ん。さいなら」
女子バスケ部員はそれぞれに校門を出て岐路についていく。朋与もまた同様に岐路につこうと挨拶を切り出そうとした。
「ではまたミョウニチ…」
「あ、待って」
朋与を引き止めたのは比呂美だった。
「うん?何」
「ちょっとね。相談したいことがあって…あ、時間ないなら歩きながらでもいいよ」
比呂美の言葉を目を閉じてじっくり噛みしめる朋与。
「あの?どうしたの?トヨモ」
「いやなに。比呂美さんからそんな台詞を聞く日が来るとは。いやはや長生きはするもんだ」
「あんた年幾つよ」
思わずジト目で睨んでしまう比呂美だった。

時計の長針が真上へと動く。そして目覚まし時計がけたたましい音を鳴らそうという瞬間、一本の腕が時計へと伸びてくる。そしてほんの一瞬のアラーム音しか目覚まし時計は鳴らすことが出来なかった。時計へと腕を伸ばしたまま時間を確認した眞一郎はベッドの上に立ち上がった。
「よし!!」
そして壁のカレンダーの14日の所につけた赤丸を確認すると胸を張って叫んだ。
「記念すべき勝利の日だ!!」

三代吉が下駄箱で靴を履き替えていると後ろから声を掛けられる。
「おはよう!野伏くん。今日もいい天気だね!」
驚いた三代吉が振り返ると声の主は眞一郎だった。
「どーしたんだ。お前」
「何言ってるんだい。いつもどおりだよ僕は」
しばらく怪訝な顔を見せいてた三代吉はふとあることに気が付いた。
「ははーん。そうか今日はバレンタインだもんな。浮かれまくってるわけだ」
「そ、そんなことないよ野伏君」
「ま、しゃーないか。俺も以前は結構期待してたもんな」
「あ。ご、ごめん」
眞一郎の脳裏に愛子の顔がよぎる。
「お前が謝ることじゃねーよ。まあ本命は無理かも知れんが義理は確定だし去年よかマシだよ」
「三代吉…」
「まあお前は本命確定だからな。羨ましいぜ。どんなチョコもらったか後で教えろよ」
三代吉はそういうとさっさと教室に向かう。眞一郎も三代吉を追いかけるように教室へ急いだ。

眞一郎が教室に入るなり辺りを見回すが比呂美の姿は無かった。仕方なく椅子に座るもそわそわして落ち着かない。するとそこに比呂美の声が聞こえた。
「おはよう」
「おはよ」
「おはよう」
女生徒達の挨拶の最中、眞一郎が比呂美のほうを見つめると比呂美は微笑みながら挨拶をしてくる・
「おはよう眞一郎君」
「お、おはよう」
このタイミングでチョコかなと期待する眞一郎。だが比呂美は挨拶だけするとさっさと席に座って朋与達と会話を始めてしまう。
(ま、まあクラスメイトの目の前じゃ渡しにくいよな…)
眞一郎は取りあえず機会を待つことにした。

一時間目が終わり休み時間が始まった瞬間、黒板の前で真由と美紀子が声を張り上げた。
「はーい。1B男子注目!!!今からあたしと美紀子の二人からもてない男子への救済処置としてロチルチョコの配給を行いまーす。欲しい人は二列に並んでくださーい」
「おお、こんな所で義理チョコが!早く並ぼうぜ」
三代吉に引っ張られた眞一郎は戸惑いながらも列に並ぶ。
「はいロチルチョコ」
順調にクラスの男子にチョコを渡していく二人。眞一郎の前に並んでいた三代吉も自分の番が来てチョコが貰えると嬉しそうに叫んだ。
「やったぜ!初チョコだ!」
「ロチルチョコ1個でそこまで喜ぶかな…」
呟きながら真由の前に立った眞一郎。だが真由は困ったような表情のまま動かない。じれて片手を差し出す眞一郎。真由はチラリと美紀子を見る。美紀子は首を振って答えを返した。真由は両手を合わせて眞一郎に謝罪を始める。
「ごめんねーっ。仲上くんにはあげられないの」
「え?なんで」
「だって比呂美に知られたら殺されかねないもの」
「ええーっ」
驚いた眞一郎は教室を見渡す。だが比呂美の姿は見当たらなかった。
「比呂美ならトイレだよ」
眞一郎の意を察したのか朋与が答える。困惑する眞一郎を尻目にチョコの配給は続き、男子に一通り行き渡ったようだ。
「少し余ったね。1Aの男子にも先着順であげようか」
「そうだね」
美紀子と真由がそんな会話をしていると教室に比呂美が入ってきて眞一郎と目が合う。眞一郎が口を開きかけるとチャイムが鳴り古文担当の教師が教室に入ってくる。この教師はいつも来るのが早いのだが今日はさらに輪を掛けて早かった。バレンタインの邪魔がしたいんだろうかと眞一郎は疑いたくなった。

その後も体育や理科室への移動など休み時間の間に比呂美に話しかけるチャンスはなかった。そして昼休みになり眞一郎は比呂美の姿を探す。
「比呂美に用?なんか自主練習とか言ってたよ」
辺りを見回す眞一郎にあさみは親切心を見せた。
「ありがとう」
眞一郎が体育館に向かうと三代吉は椅子にもたれかかりながら呟く。
「あいつまだ貰ってないのか?」

体育館ではユニフォーム姿の比呂美がシュート練習をしていた。朋与が隅っこでそれを見ながら購買のパンをかじっている。眞一郎は思い切って比呂美に声を掛けた。
「比呂美!」
比呂美はシュート練習を止めて眞一郎を見つめる。
「何?急ぎの用?」
「いや、急ぎって訳でも…」
「じゃあ、後にしてちょっと昨日ノルマをこなせなかったから」
そういうと比呂美はまたシュート練習を再開する。何か言いたげにしていた眞一郎はやがてとぼとぼと戻っていった。そんな彼の後姿を朋与は紙パックのジュースをストローですすりながら黙って見つめていた。

結局、本日の授業とホームルームが終了し比呂美と朋与は話しながら教室を後にして下駄箱とは反対方向へと向かう。あちら側は女子更衣室の方向だから部活に行くんだなと眞一郎は思った。
「じゃ、俺は愛ちゃんのとこ行くけど、どうする」
そういって三代吉は眞一郎の首に腕を絡める。
「いや俺はいいよ」
「しかし湯浅もなんつーかさ。釣った魚には餌をやらないってゆうの?」
「まだ貰えないと決まったわけじゃない!」
思わず声を荒げる眞一郎。三代吉はにやけながら呟く。
「じゃ、あれだ。体中にチョコ塗って、あーたーしーをーたーべーてー♪」
「変な漫画読みすぎじゃないのか?」
眞一郎はそんなことはありえないと三代吉の言葉を否定する。
「ま、どんな結果になってもちゃんと教えろよな」
そういうと三代吉は教室を後にする。
「ギーリギーリ義理でもいいから、手作りがいいなー♪」
廊下から三代吉の調子外れの歌が聞こえる。眞一郎は三代吉の歌声を聞きながら去年のバレンタインを思い出していた。去年は確か朝食の時に義理ですけどと断ってから比呂美はまず眞一郎の父親に、それから眞一郎にチョコレートを渡してきた。チョコレートは菓子メーカーの市販品のものでやや高級志向のものという感じだった。そういえばホワイトデーのお返しとか忘れてたなと眞一郎は思い返す。ひょっとして3倍返しをしなかったから今年は無しだということだろうか。もやもやを抱えたまま眞一郎は教室で一人悶々と過ごすのだった。

しばらく気分を変えるためにスケッチブックに向かい絵を描いていた眞一郎。ふと時計を見るとそろそろ部活も終わった時間だった。
「そろそろ行くか」
眞一郎はスケッチブックをしまうと校門へと向かう。校門の外で待っていると部活の終わった生徒が下校が多くなってくる。やがて聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あはは、なにそれ、駄目じゃん」
声の主は黒部朋与だった。眞一郎は校門の影から顔を出す。
「あれ、どうしたの?」
朋与の質問には答えずに辺りを見渡す眞一郎。
「比呂美は?」
「ああ、奥さんなら先帰ったよ。練習の途中で」
「へ?」
呆然とする眞一郎。朋与はちょっと意地悪そうな顔を見せる。
「何か用事があるってさ…旦那をほっぽり出すような用事ってなんだろうね」
西の空を飛ぶカラスが眞一郎を馬鹿にしたような鳴き声をあげた。

眞一郎が自宅に戻るとちょうど父親が本宅から酒蔵に戻る途中だった。
「眞一郎か。ちょうどいい。後で比呂美に礼を言っておいてくれ」
父親はそういうと包装紙につつまれた小箱を眞一郎に見せる。
「チョコレート…一体いつ…」
「ああ、ちょっと前にな。母さんが預かったらしい」
父親の返答を聞きしばらく呆然としていた眞一郎。やがてすごい勢いで走り出した。
「なんで親父にはあげて俺にはないんだよ!おかしいだろ!」
眞一郎は叫びながら比呂美のアパートまでたどり着きそのドアを叩く。
「比呂美!いるのか!」
だが中からの返事は無い。眞一郎は合鍵を取り出し鍵を開け中に入るも、やはりそこには誰もいなかった。
「何だよ…」
眞一郎は灯りをつけるとまずテーブルの上と冷蔵庫の中を調べる。そして戸棚とかチョコレートを置きそうな場所を一通り確認する。だがどこにもチョコレートらしきものは存在しなかった。
「何でだよ…」
眞一郎はそう呟くと部屋の隅にうずくまった。

どれくらい経った時だろうか。鍵を開けようとする音が聞こえてきた。
「あれ、開いてる」
そういうと比呂美はドアを開け部屋に上がる。そして眞一郎の姿に気づくとため息をついた。
「来るなら連絡入れてよ。泥棒が入ったのかと思っちゃうじゃない」
眞一郎は座り込んだまま、顔を上げ比呂美を睨んだ。
「な、何よ」
戸惑う比呂美に眞一郎はゆっくりと呪詛の言葉を紡ぐ。
「チョコレート…なんで親父にはあげて…俺には無いんだよ…」
「へ?ああ、うん。そうか。そうよね。そう思えちゃうんだわ」
一人で勝手に納得する比呂美。眞一郎は立ち上って比呂美を見つめる。
「ちゃんと説明してくれよ」
比呂美はため息をつきながら答える。
「もう、怒んないでよ。私も悪かったと思ってる。誤解させるような形になっちゃたんだものね」
「誤解?」
「じゃ、始めから説明するね」
そういうと比呂美は朋与との会話を思い出しながら語り始めた。

「思い出に残るバレンタイン?」
朋与は比呂美の言葉をそのまま疑問系にして返す。人影の殆ど無い道を歩きながら二人は会話を続けた。
「うん、ほら、私は初体験を…いい思い出にならない形に自分からしちゃった訳じゃない?」
「そうだったわね」
「私はもう二度と思い出を裏切るような真似はしない。そう決めたの。思い出を大事にしたいから…だからバレンタインも思い出に残るようなものにしたいのよ」
「ふんふん、それで?」
「どうしたら思い出に残るバレンタインになるのかしら」
適当に相槌を打っていた朋与は少しふざけ気味に答える。
「じゃあさ、全身にチョコ塗って、私を食べてぇん♪なんつってね…」
「うん、それも考えたんだけど。部屋が汚れるとか、途中でトイレに行きたくなったらとか色々と面倒そうなのよね」
「…マジで考えてたのか」
朋与のふざけた提案も比呂美には真面目な選択肢の一つだったらしい。朋与は鞄を腋に抱えると小さくお手上げのポーズを取る。
「正直、独り者には荷が重い相談だわ…大体バレンタインってチョコをあげるだけのイベントでしょ。二人で何かやるようなイベントじゃないと思い出には残らないっていうか…」
朋与の言葉に比呂美は足を止める。朋与は遅れて立ち止まると比呂美の方に振り返る。
「比呂美?」
「それだわ!!!」
そう叫ぶと比呂美は朋与に抱きついた。戸惑う朋与に比呂美は嬉しそうに何度も礼を言う。
「ありがとう!ありがとう!朋与はやっぱり最高の親友だわ!」

比呂美の説明を聞いていた眞一郎。だが戸惑いの表情は未だ消えていない。
「結局どういうことなのかよくわからないんだけど」
眞一郎は比呂美の持っている買い物袋に今更ながら気がついた。
「それは?」
「ああ、これ?ケーキの材料。いい材料が売ってる店が遠いとこなのに割と早く閉まっちゃうから、部活も途中で抜けてきちゃったわ」
「ケーキ?」
「うん、それじゃこれからザッハトルテ…チョコレートケーキを作ります」
比呂美の言葉とともに眞一郎の表情がぱっと明るくなる。
「なんだよ。今から用意するのか。なんだよ。早く言ってくれよ」
眞一郎はにやけながら時計を見る。
「そういうことなら。じゃ、俺一旦家に戻るよ」
「何言ってるの?眞一郎君が作るのよ」
比呂美の反論に眞一郎の目が丸くなる。
「へ?俺が?比呂美が作るんじゃ…」
「正確に言うなら私が教えながら眞一郎君が作るのよ」
「俺が?」
「そう、二人で作るの。普通に共同作業とかにしたら結局私が中心になっちゃうでしょ?だからそういう形にするの」
「二人で…」
「そう、二人で一緒に行うならきっといい思い出になる。私が初体験の思い出を台無しにしちゃったのも一人だけで突っ走ったから…だから…今度は二人で一緒にしたいの…」
遠い目をしながら呟く比呂美。眞一郎は優しい瞳でため息をついた。
「大体わかったよ。でもなんでケーキなんだ?」
「普通のチョコレートじゃ流石に簡単すぎるもの」
「なるほど」
比呂美の答えにようやく全てを納得できた眞一郎は上着を脱ぐと腕まくりをした。
「よし、それじゃ何からするんだ」
「うん、じゃあ、まずバターと薄力粉を用意しようか」
こうして二人のザッハトルテ作りが始まる。料理などしたことのない眞一郎は作業に手間取ってしまい、ようやく完成に漕ぎ着けた時はもう日付が変わった後だった。完成後に二人で食べたその味は決して美味しいとは言えないものだったが、比呂美と眞一郎にとっては忘れられないものになったと言う。

そして疲れきった眞一郎はそのまま比呂美の部屋のベッドで泥のように眠ってしまう。比呂美もまた眞一郎の寝顔を幸せそうに見つめながら眠りに落ちていく。エッチをしないままに二人で一緒に眠る…それは彼らにとって初めての事であった。




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あとがき:

書きかけのまま放置していたこの話もようやく完成。本当ならもっと早く書き上げて第11話考察が終わるまで暫定非公開になるはずだったのだが、考察とほぼ同時に公開と言うことになりました。二次創作の遅れっぷりは本当にどうしようもないくらいにひどいな。当初の予定ではサクサク進めていって7月期の話から現実の時間軸に合わせて公開にしたいなあとか思ってたんだが…現実はうまく行かない。

今回の話と12月中旬の「親子の絆」は当ブログで二次創作小説を扱うことを決意させた話…ていうか考察や分析で比呂美の行動や心理の問題点を暴く以上、それをフォローする話が必要だと言う考えから二次創作小説連作の公開を決意しました。考察を読んだ後にこれらを読んで比呂美の抱える罪を許せるものだと感じてくれたら幸いですが。

実はザッハトルテとか食ったこと無い。一回食ってみたいな。

比呂美の部屋にはきっとオーブンレンジがあるはずだ。画面に出てこないだけで。

2009-01-02(Fri)

第11話「あなたが好きなのは私じゃない」考察(裏)

というわけで第11話の隠された真の姿についてです。考察(表)と同じ部分は割愛します。

以下考察。

比呂美に部屋を披露される眞一郎。ここで疑問になるのはなぜ靴が脱ぎ散らかされているのか、なぜ遅い朝食を二人で食べているのか、なぜ合鍵が渡されているのか等です。ここでエッチをした後だと仮定すれば今度はなぜ後になって部屋を披露しているのか等の別の疑問点が出てきます。ここはまず着眼点を変えて見ましょう。眞一郎が比呂美を抱こうとするのか否かという点です。ちゃんとしてない状態の眞一郎が比呂美を抱こうとするとは思えません。彼は実際誠実な男ですから。では比呂美なら?

第10話を思い出してください。あの話を比呂美の視点で見たらどうなるか。彼女から見れば乃絵と付き合っている筈の、乃絵が好きだった筈の眞一郎が自分の方を選んでくれた。つまりは乃絵に逆転したわけです。逆に言えば今後、乃絵が自分に逆転することもありうるわけです。ちゃんとするという眞一郎の言葉を疑うわけじゃないけど、ちゃんと乃絵と別れる前に逆転が起きてしまうかもしれない。何日経っても眞一郎はちゃんとしてくれない。彼女の不安はつのるばかりです。で、彼女の中に一つの考えが浮かびます。体を与えれば眞一郎の中から乃絵への思いを消し去れるのではないかというものです。彼女には眞一郎を誘う動機があるのです。

ではどういうシチュエーションだとエッチ仮説が成立するのか。まず脱ぎ散らかされた靴に着目します。普通彼女の家に御呼ばれした男は靴を脱ぎ散らかしたりしません。きちんと脱ぐ筈です。つまりは急いで部屋に入る必要があったということ。さらに比呂美の靴はきちんとしているので比呂美は急いで部屋に入る必要はなかったと言うことになります。つまりは比呂美は部屋にいながら眞一郎を呼び出したということです。

ではなぜ朝になって部屋を披露しているのかという疑問が出てきます。これは部屋が暗くて観察している余裕がなければ起こりうる事態です。以上を踏まえて当方の仮説を展開してみます。

乃絵に逆転される不安を抱えた比呂美は土曜から日曜に掛けての深夜に眞一郎を乃絵に奪われそうになる夢を見て目覚める。そして比呂美は夢の続きを見るのが怖くて眠ることが出来ない。夜中に一人でいることで孤独感をつのらせる比呂美。眞一郎がいてくれたらと考える。でもこんな夜中に呼び出したら誘ってるみたいで…その時比呂美の中にある考えが浮かぶ。体を与えれば解決するのではと。比呂美は早速眞一郎に電話をする。「怖い夢を見ちゃった。一人だと眠れないの。一緒に寝てくれる?」そして返事は聞かずに言うだけ言って電話を切る。眞一郎に考える余裕を与えないためだ。男なら思い人からの誘いを断れずに受けてしまう場合が多いだろう。もし眞一郎が自家発電中だったら絶対に断ることなど出来はしまい。で、その気になった眞一郎は比呂美のアパートへ直行。靴を脱ぎ散らかして暗い部屋に入り、ロフトではなくテーブルの傍で待っている比呂美を見つけるとそのまま押し倒してしまう。で疲れて眠ってしまった眞一郎は比呂美が朝食を用意する音で目覚める。寒さを感じて急いで服を着る眞一郎に比呂美は合鍵を渡す。そして本編の比呂美が眞一郎に部屋を披露する場面へつながる…

これならば矛盾はなくなる筈です。目の前にあることなら高速に計算処理できるけど目の前にないことは考えられない比呂美にしてはうまくいきすぎな感もありますけど。ちなみに部屋が暗いのは恥ずかしいから(笑)テーブルの傍にいるのは暗がりでも眞一郎が見つけやすいようにですね。

雪にはしゃいでいる比呂美は目的を達成して喜んでいる状態。比呂美が雪の海を見たいと言って一人で先に行ってしまうのは比呂美が一人で先走っている状態…つまりまだちゃんとしていない眞一郎を誘惑したことを示す。

で、見詰め合った後で比呂美からキスをしてくるのは、乃絵という障害がもうなくなったと思っているから。ひょっとしたらプレイの中にキスが含まれてなかった為、してないことに気づいたからかもしれない。で、キスしたいなと思ったらいつの間にかキスしちゃってたみたいな感じで。

で、比呂美といる間に眞一郎が乃絵の事を考えているのは乃絵ときちんと別れる前に比呂美としたことの罪悪感etc.からと。

同じ家に別々の入り口で入るのは母親等に二人の関係を感づかせないためには必要な行動だと言える。いや母親は気づくだろうからそれ以外の人に。眞一郎が妙に嬉しそうなのはようやく昨晩の出来事が夢じゃなかったことを確信できたからだろう。この場面は脚本的にはともかく演出的にはゴールが同じ所にある二人が通り道を違えてしまっていることを示すのだろうか。

比呂美の部屋でちゃんとしてないことを反省する場面。だれにもちゃんとしていないという台詞。彼は乃絵と切れる前に関係を持ってしまい比呂美に対してもちゃんとしていないのだ。

風呂上りに比呂美が足でブラを取ろうとする場面。これは演出的にはふしだらな行為で目的を果たそうとして失敗することを示している。これはすぐ分かるのだが脚本的な理由がよく分からなかった。が、しばらく考えていたらつま先を伸ばしている事に気づいた。これは性感を得ていることの記号である。つまりは比呂美は眞一郎との初夜で性的快感を得ていたのだ。初めての稚拙な前戯、ひょっとしたら前戯すらなかったかもしれない状況なのに。で、比呂美は性感を得ると女はつま先を伸ばしてしまうことを実体験として知ってしまった。彼女はそれを思い出して自分でつま先を伸ばしてみようとしたのだ。そのときの快感を思い出しながら。

男も引っ張り込み放題だとの朋与の言葉に同意する比呂美。いやもう引っ張り込んだ後です。

乃絵の失踪を眞一郎に電話した後の比呂美の形相がすごいのは自分が体を与えてなお眞一郎にとって大切な存在である乃絵を激しく憎んだからと。

前半で比呂美と歩いた竹林を眞一郎一人で走っていくのは、眞一郎が比呂美の元を通り過ぎていくのかもしれないと受け手に感じさせるためだろう。

最後に、今回の比呂美の行動は自分自身への裏切りである。彼女は眞一郎との初体験をいい思い出として残らないものにしてしまった。誰よりも思い出の大切さを理解していたはずなのに。彼女は自分自身の思い出を裏切ったのだ。正直ちょっと残念だと思う。まあ、この逆走こそが彼女らしいといえばらしいのだが。

以上で第11話の真の姿の考察も終わり。おいおいこれじゃ第13話とかみ合わないじゃないかと言う人もいるだろうが、実は第13話もまた真の姿は隠蔽されてるんですよ。これが。

2009-01-02(Fri)

第11話「あなたが好きなのは私じゃない」考察(表)とメモ書き

まずはメモ書き。

1週間の停学の解けた比呂美、アパートの一番奥まった部屋から出てドアに向かい行って来ますの挨拶を。そして気張った顔で学校へ向かう。

そして1週間、眞一郎はずっと乃絵に会えないままだった。

雪の積もった校庭、鶏小屋の前で乃絵は中の地べたをじっと見つめ自嘲のこもったため息。

町では屋根の雪下ろしをする人、祭りの提灯を飾り付ける人などがいた。眞一郎の母も事務室で酒の注文を受け付けていた。その間も鳴り続ける電話。酒蔵の少年が酒蔵の二階から一階に下りてきて酒の量を親方に確認する。そして今年は注文が多いと語り合う少年と眞一郎の父。

比呂美は眞一郎にアパートを見せている。割といい部屋でしょうと。玄関には綺麗に置かれた比呂美の靴と脱ぎ散らかした眞一郎の靴が。眞一郎は家からも近くていいと同意。テーブルにはトーストとベーコンエッグが二人分。紅茶の用意をする比呂美。眼鏡を掛けている。眞一郎は祭りが明々後日の日に対校試合をするのはおかしいと言うも比呂美は新人戦の前に練習試合をしておきたかったらしいと返す。眞一郎の相手が蛍川なら男子バスケ部も来るのかという問いに応援に来るらしいと同意する比呂美。純も試合に来る事に心情穏やかでない眞一郎はなぜもっと早く言ってくれなかったのかと思うも「言えるわけ無いか」よく聞き取れなかった比呂美は「何」と聞き返すも眞一郎は慌ててなんでもないと返す。テーブルに紅茶を置く比呂美。

雪が降り始めていることに気づくと窓に近づき比呂美は「私、雪の海って好き。海行こう!」そして玄関を出て走っていく比呂美。「先行ってるね。鍵お願い」「待てよ」眞一郎は慌てて靴を履くも比呂美の姿はもう無かった。戸惑う眞一郎。

竹林を歩く比呂美。追いついてきた眞一郎。一人で進む比呂美にやはり戸惑う眞一郎。海辺を二人歩きながら眞一郎は乃絵の事を考える。比呂美は町の方を見つめ踊りの稽古がうまく行ってるか尋ねる。曖昧に答える眞一郎。そしてまた乃絵の事を考えていた眞一郎は比呂美の言葉で我に返る。「私、楽しみにしてる眞一郎君の晴れ姿。おじさんも昔、花形やってた事があるっておばさんが」照れる眞一郎。話しながら眼鏡を外す比呂美。「うん」目をそらした眞一郎は父もまた花形の経験がある事を知っていた。「なんだ知ってたんだ」また乃絵の事を考える眞一郎。海を見つめる比呂美。そんな比呂美の横顔を見つめる眞一郎。そしてまた眞一郎の方を見る比呂美。しばらく見詰め合うとゆっくりと歩み寄りキスをする比呂美。戸惑いながらも受け入れる眞一郎。比呂美はキスを終えると「帰ろう。昼から眞一郎君の家に行かなきゃ。忙しすぎておばさん機嫌悪くなってるかもよ」

雪の降る町で携帯が鳴り三代吉が相手を確認すると発信先は公衆電話だった。戸惑いながら電話に出る三代吉。相手は愛子だった。「元気のいい女友達欲しくない?その子と友達になればもれなくコーラと今川焼きがついてくるけど」「俺…」愛子は店内の公衆電話から掛けていた。「もう一度友達からやってみよう。最初からセーターは無理だったんだよ。もっと簡単なやつから始めなきゃ駄目だったんだよ。私たち」すると店の自動ドアが開き愛子が振り向くとそこには三代吉の姿が。「でもいつかセーター編んでもらえるように俺頑張るよ」見詰め合う二人。「私もそれまで編み物の腕磨いとく」三代吉が携帯を閉じ店内に入ると自動ドアが閉まり掛けてあった準備中の札が揺れる。

比呂美は普段家族が使わないもう一つの玄関から仲上家へ。眞一郎はいつもどおりの玄関から家に戻る。「ただいま」「ごめんください」二人は別の入り口から同じ家に入る。

その夜、眞一郎は絵本の創作をする。「次の日は雨でした。横で地べたがしきりにバタバタと羽を羽ばたかせていましたが雷轟丸は悠然としていました」

校内の階段を下りる眞一郎。階下に乃絵を見つけ慌てて駆け下りるもすでに乃絵の姿はなかった。

体育館にて麦端と蛍川の女子バスケ対抗戦。蛍川が大きくリードしている。相手の成功シュートからゲームの再開。パスを受け取った比呂美はドリブルで敵を抜こうとするも相手の足に躓き転倒。反則のホイッスル。比呂美はすぐ立ち上がりゲームに戻る。やがて点差はわずかになる。外から試合を見ていた高岡キャプテンが何を感じるとまた比呂美は足を躓かせ転倒。長めと短め二つのホイッスル。「比呂美!」駆け寄り蛍川を睨む朋与。大丈夫だからと返す比呂美に「絶対わざとだよ。酷いよ」そしてホイッスル。また転ぶ比呂美。高岡キャプテンの審判を責める声。するとバスケコートに入る男の姿。審判に注意されてもそれを無視する男の正体は純。彼は比呂美に反則を仕掛けていた二人の前に立つと露骨な反則を責めた。再三審判に注意されても純はコートから出ない。それを見た朋与は素直に感動。そこに高岡キャプテンのタイムの声。タイムが成立し審判がホイッスルを鳴らすと純はコートを去っていく。観衆の好奇心と感動を根こそぎ奪いながら。それを見ていた眞一郎。近くにいた男たちが純を褒め立てる。あんな愛の告白を受けたら一発でその気になってしまうだろうと。その言葉に戸惑う眞一郎。高岡キャプテンが部員の気を引き締めさせると試合は再開。眞一郎は試合の続き見ずに立ち去ろうとする。するとそこに三代吉の姿が。挨拶を小声で返す眞一郎に三代吉は乃絵に呪いがちゃんと掛かってなかったことを伝えてくれというと戸惑う眞一郎を残して愛子の所でバイトだからと眞一郎の待てよと言う声を無視し去っていく。眞一郎は鶏小屋の前まで来ると地べたを見つめそして体育館の方を見つめる。「なんと、あの10メートルの丘の上に朝日を背に受けた地べたのシルエットがすっくと立っているではありませんか」飛び立つ絵本の地べた。

踊りの稽古場。老人に注意されつつ練習に励む眞一郎。テーブルには誰の姿も無い。

夜になって眞一郎が家に戻ると誰の気配も無い。酒蔵からは父や母の声が聞こえてくる。眞一郎は誰もいないかつての比呂美の部屋の前まで歩くと中に入る。がらんどうになった部屋を見つめ比呂美がいたころの事を思い出す。「ちゃんとするって、なんだよ」自嘲しながら乃絵のあなたは飛べるの言葉を思い出す眞一郎。「俺、何もちゃんとしてないし、誰にもちゃんとしてないし」そこではっとする眞一郎。父と母が談合しながら玄関から入ってくるとちょうど眞一郎が階段へと向かっていくのが見える。父は麦端祭りを楽しみにしているとし次に絵本の経過を尋ねる。歩み寄る父に眞一郎はもうすぐ描き終わると答える。そちらも楽しみにしているが今は麦端踊りをやり遂げろとする父。横切っていく父に眞一郎はため息混じりに頷く。階段へと進む眞一郎に酒蔵の少年が麦端踊りを楽しみにしてますと声を掛けてくる。眞一郎はそれを無視し二階にあがる。それを見つめる酒蔵の少年。眞一郎は二階の廊下の窓を開けると頑張るよと大声で返した。笑う少年。

眞一郎の絵本創作。「地べたの影は丘の上を離れます。そして失速した地べたは急速に地面へと落ちて行ったのです。その一部始終を雷轟丸は見ました」

比呂美の部屋。洗濯物が部屋の中に干してある。水音が途絶えた後、比呂美がお風呂から出てくる。髪にタオルを巻いただけで全裸の比呂美はタオルで顔を拭きながら干してあるブラジャーを見つめる。そして片足を上げてつま先でブラジャーを取ろうとする比呂美。ブラを摘むことが出来たもの転んでしまう。そして眼鏡を掛け冷凍庫からソーダ味のアイスバーを取り出して食べ始める。携帯が鳴り比呂美が電話に出ると相手は朋与だった。「比呂美?」「うん、お疲れ」「今日蛍川から高岡キャプテンに謝罪の電話があったんだって」「そう」「4番を麦端の子に取られたーって、大騒ぎだったんだって。馬鹿みたい。でもすごかったわね4番。皆の前であんな事言っちゃって。比呂美の事本気で。あ」「いいの。私もう関係ないし」「どう?一人暮らし」「今ガリンコ食べてるとこ」「あーっずるい。あれすっごくいいよね」「うん、一人暮らし最高!」「男も引っ張り込み放題だしね」「うん」「ええっ!あっはははは…あ、ごめん。お母さんが呼んでる。また後でかけるね」「うん」電話を終えた比呂美は寂しさを堪える様にガリンコを齧る。するとまた携帯の呼び出し音。比呂美は相手の名…純の名前を見てはっとするも少しいやそうな顔で電話に出る。「はい」「今日の事は悪かった」「私たち…」「え?」「私、色んな人に迷惑掛けた色んな人が嫌な気持ちになって」「謝ってるのは俺の方だぜ」「ううん、ごめんなさい。それから有難う」「会わないか。会ってくれ」純は真剣な表情で電話をしていた。

朝の仲上家。比呂美は襖を開けながら手配の完了を報告をする。眞一郎の母はなにやら手を動かしながら比呂美に眞一郎の洗濯物を部屋まで運んでと頼む。戸惑いながらも同意し階段を上がっていく比呂美。上りきって二階の廊下を進む比呂美をガラス越しに。部屋の前で呼びかけるも返事がないので勝手に部屋に入る比呂美。洗濯物を置くと机の上のスケッチブックに気づく。その表紙には「雷轟丸とじべたの物語」と記されている。そこにジュースを持った眞一郎が階段を上がって部屋に戻ってくる。事前に気づいた比呂美は慌てて部屋を出ようとする。そして眞一郎と部屋の入り口で出くわす。洗濯物を頼まれたといい訳をする比呂美。昨日交流戦を見てたとする眞一郎は続けて何か言おうとするも比呂美は怒りながら「眞一郎君は麦端踊り頑張って」と言い残して去っていく。眞一郎は純のことを聞こうとするのを無視して。

人通りの少ない町。祭りの準備に忙しい人々。比呂美は純と会う約束をしていた。石碑の前で待っている比呂美の所に純が歩いてくる。ベンチに座る二人。会ってくれたことに例を言う純。直接謝りたかったという純に気にしないでと言う比呂美。私のためにしてくれたことは嬉しかったと付け加える。そして比呂美が純を見て用はそれだけかと聞くと純は目を閉じそんなに邪険にしないでくれとしお茶に誘う。比呂美は純から目をそらして今度は自分の用をと。戸惑う純。比呂美は立ち上がって純を見る。「もう会うのも、連絡取るのもやめにしましょう。このままだと私たちまた他の人を巻き込んじゃう。あなたと会って面と向かって言いたかったの」純は比呂美と睨み合いながら顔を少しそらす。そして比呂美に向き直って「やっぱり気にしてるんじゃないか」と言い睨み続ける比呂美から顔を背ける。そして立ち上がりながら比呂美を微笑んで見つめ「でも、こないだも言ったけど俺たちの契約、まだ終わっちゃいないぜ」目線を上に直して純を見る比呂美。純は比呂美の頬に手を触れてくる。比呂美は無表情に純を見ながら「あなたが好きなのは私じゃない」比呂美の言葉に純は目を見開く。「あなたにはあの娘以外のことはどうでもいいのよ。なぜわからないの」比呂美の言葉に動揺する純。

眞一郎が町を歩いていると公園から出てくる比呂美に気づく。嬉しそうな顔で眞一郎は声を掛けようとするも公園の中の純に気づくと止めてしまう。

雪夜の仲上家。眞一郎は絵本の続きを描く。「鶏としての最初の飛翔。そしてその失敗による栄光は地べたのものでした。雷轟丸はただ臆病な鶏たちの中のただの一羽にすぎませんでした。終わり」眞一郎は部屋の窓を開くと外の空気に寒さを感じる。「こんなバッドエンド誰が読むんだよ。乃絵が見たらなんて言うか」眞一郎は雪を見上げる。「そうだよな。乃絵には見てもらわなきゃ」

ベッドの枕元に置かれた携帯が鳴り、比呂美が上体を起こしながら電話を見ると相手は純だった。躊躇いながら電話に出る比呂美。「もう話すことは…」だが純は動揺しながら乃絵が帰ってこないことを告げる。そして純は比呂美に眞一郎への連絡を頼んでくる。同意した比呂美は眞一郎に電話を掛けようとするも手を止め携帯を閉じてしまう。そしてなにか考え事をする。

眞一郎の携帯が鳴り電話に出ると相手は比呂美だった。「ごめん寝てた?」「絵本描いてた」「…」「もしもし?比呂美?」「…雷轟丸と地べたの物語…」「え?」「ううん、なんでも」「そう…こんな時間にどうした?」「…石動乃絵が帰ってこないって」「え?」「お兄さんが眞一郎君居場所知らないかって」「わかったすぐ探してみるよ。何かわかったらすぐ連絡くれ」比呂美はベッドで上半身を起こしたまま電話をしていた。そして眞一郎に呼びかけるも返事はなく電話は切れてしまう。雪の町をスケッチブックを抱えて走る眞一郎。その頃、純もまた町で乃絵を探していた。比呂美はベッドを上でものすごい形相で何かを睨んでいる。そして乃絵は学校の鶏小屋の中で毛布にくるまっていた。悲しそうな顔で地べたを見る乃絵。「やっぱり私お前の気持ちはわからないわ」そしてポケットから赤い実を取り出して地べたのほうに放り投げる。ついばむ地べた。「この地上には苦しい事が辛い事が沢山あるわ。飛びたい。全てから逃れて自由に羽ばたきたい。そう願ったほうがきっと楽なのよ。地べた、私が飛ばせてあげる」

眞一郎が息を切らせて鶏小屋の前まで来るとそこには確かに乃絵の足跡があるものの開きっぱなしの鶏小屋には地べたや乃絵の姿は無く毛布が残っているだけだった。眞一郎は乃絵の「あなたが飛ぶ場所はここじゃない」との言葉が別れの決意を示すものだと気づく。動揺しつつも走り出す眞一郎。

地べたをコートの内側に抱き乃絵はアブラムシの唄を歌いながら雪の中をよたよたと歩き堤防へと向かう。「アブラムシ~♪眞一郎の足の裏にもアブラムシ~♪眞一郎の帽子の中にもアブラムシ~♪眞一郎の」

竹林を息を切らせ走る眞一郎。

乃絵は堤防の先端へと歩いていく。「お尻の底にアブラムシ~♪」

竹林を抜け眞一郎は海岸へと向かう。

乃絵は立ち止まって雪の降る夜空を見上げる。「眞一郎の…眞一郎の心の底に…湯浅比呂美」堤防の先端に立つ乃絵の姿を眞一郎は見ていた。


以上でメモ書き終わり。以下考察。



比呂美の部屋はアパートの一番奥まった所。心の奥底には他人を近寄らせない比呂美らしい。

気張って登校する比呂美。多分周りの噂とかに負けないようにしているんだろう。

乃絵とずっと会えない眞一郎。教室を訪ねるとかの選択肢は彼にはないということか。

眞一郎にアパートを披露する比呂美。眞一郎にも食事を出す。ペアのマグカップはもろに眞一郎と二人で使うつもりの物。

眼鏡を掛けている比呂美。本当は目が悪いということか。で眞一郎以外には眼鏡姿を見せたくないと。

薄型テレビがある。新しく買ったようだ。

雪の海が好きだという。これも雪に対する嫌悪感の払拭なのか?

妙にはしゃいでいる比呂美。鍵を頼むということは眞一郎はすでに合鍵とか持っているということか。

アパートは思い出の竹林の近くにあるらしい。アパートは仲上家に近いらしいから、引越しの時みたいな舗装道だとひどく遠回りになるけど、竹林を抜けるとすぐだということか。実際にこんな広域の舗装道のデッドゾーンがあったら住民から自治体に苦情が来るレベルだぞ。

比呂美といながらなぜか乃絵のことを考えている眞一郎。

眞一郎の父親も花形をやっていた。眞一郎は父親と比較されてしまうわけだ。

自分からキスをする比呂美。眞一郎も愛子の時と違って拒絶はしない。今は昼前らしい。さっきのは遅い朝食だったようだ。仲上家に手伝いに行くという比呂美。景気のいい仲上酒造は人手が足りないのだろう。

三代吉の携帯に公衆電話からの着信。愛子からだと分かると三代吉が電話に出ないということか。友達からやり直そうと都合のいいことをいう愛子。コーラと今川焼きの無料を餌にして。友達以上になれるように頑張るという三代吉。二人の仲はまだ準備中らしい。

二つの玄関から別々に、だが同時に仲上家に入る眞一郎と比呂美。正直あの母親ならすぐ二人でいたのに気づくだろうし、比呂美が保護者の家に入るのにしてもちょっと他人行儀だ。無意味な行為だと思う。

女子バスケ部交流戦。高岡キャプテンが試合に出ていないのはなぜだろう。純のスタンドプレイを見て自信を無くす眞一郎。

比呂美の部屋にこっそり入ってちゃんとしてないことを反省する眞一郎。

眞一郎はまた酒蔵の少年を無視するかと思いきや、ちゃんと返答した。

洗濯物が中に干してある比呂美の部屋。まあ雪降るし下着とか外に干したくないとかいろいろありそうだが、だったら乾燥機も買っとけよ。ロフトや冷蔵庫が確認できる。

風呂上りの比呂美。足でブラジャーを取ろうとする。一人暮らしだからって羽目外しすぎ。

冷凍庫にはやたらアイスが多い。でガリンコを食べる。

また眼鏡姿の比呂美。風呂前にコンタクトを外し、風呂の後はメガネというのがコンタクト着用者の日常らしい。

純が比呂美に本気じゃなかったことを知ってる朋与。比呂美はもう終わったことだと言う。朋与はどこまで知ってるのか?

男も引っ張り込み放題だとの言葉に同意する比呂美。朋与は冗談だと受け取るが比呂美は本気だろう。合鍵も渡してあるし。

朋与の家族の存在が比呂美に孤独感を思い出させる。

比呂美に眞一郎の洗濯物を届けることを頼む眞一郎の母。かなり対応が柔らかくなったことに戸惑う比呂美。

乃絵がらみのスケッチブックを見つけ嫉妬する比呂美。純のことをはっきり聞けない眞一郎。

石碑の前で純を待つ比呂美。石碑は過去の出来事をあらわす。比呂美にとって純のと付き合いはもう過去のことだと言うこと。

わたしのためにしてくれて嬉しかったという比呂美。明らかに本心じゃないな。

純は比呂美の言う「私たち」が自分と比呂美のことだと誤解しているっぽい。

乃絵が好きなくせにと指摘された純はショックを受ける。

一度連絡を止めておきながら結局連絡する比呂美。さすがに非常時には悪意を出し切れないようだ。

乃絵を探しにいく眞一郎。比呂美の目つきがすごい凶悪だ。

乃絵は毛布を持って外を出歩いていたのか。

乃絵の飛ぶという言葉には死や逃避の意味も入っているようだ。

「眞一郎の心の底に湯浅比呂美」心の中でなく底なのがポイント。ほかの誰かに取り替えるには心の中身を全部出さないといけない。現実には取替えが不可能なのだ。

絵本象徴について。地べたの飛翔と死は純の告白まがいのスタンドプレイと玉砕を示している。雷轟丸がただ見ていただけだというのは告白も出来ずに終わってしまうのではないかという眞一郎の不安を示していると考えられる。このあたりは以前の部分に比べて余りスマートじゃないと思う。



以上でとりあえず終わり。だが今ひとつしっくりこない。実はこの第11話には隠された真の姿と言うものがあるのですよ。というわけで第11話考察(裏)に続きます。
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